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アントレ教育、実施大学率27%…文科省調査

 文部科学省は2021年11月22日、大学におけるアントレプレナーシップ教育の実施状況の実態・課題等に関する調査結果を公表した。大学・短大のうち、アントレ教育を実施しているのは27%。実施大学の35%は「予算なし」と回答。外部機関との連携も不十分な状況にあった。

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アントレ教育の実施の有無
  • アントレ教育の実施の有無
  • アントレ教育を実施する予定がない大学において、実施の予定がない理由
  • アントレ教育の年間の活動予算
  • 大学で実施しているアントレ教育のプログラム数(入門)
  • アントレプレナーシップ教育の現状把握の観点整理
  • アントレプレナーシップ教育の全体像
  • アントレプレナーシップ教育の現状
  • アントレ教育の現状を踏まえた課題の整理
 文部科学省は2021年11月22日、大学におけるアントレプレナーシップ教育の実施状況の実態・課題等に関する調査結果を公表した。全国の大学・短大のうち、アントレ教育を実施しているのは27%。実施大学の35%は「予算なし」と回答。外部機関との連携も不十分な状況にあった。

 令和2年度(2020年度)科学技術人材養成等委託事業「持続的・発展的なアントレプレナーシップ教育の実現に向けた教育ネットワークや基盤的教育プログラム等のプラットフォーム形成に係る調査・分析」として2020年10月~2021年3月、国公私立大学、大学発ベンチャー企業、自治体等を対象に調査を実施。調査結果を報告書に取りまとめた。

 なお、報告書ではアントレ教育(アントレプレナーシップ教育)を「起業に限らず、新事業創出や社会課題解決等、新たな価値を生み出す姿勢や発想・能力等(アントレプレナーシップ、起業家精神)を身に付けるための教育(正課外の活動を含む)を意味する」と定義している。

 大学へのアンケート調査では、全国1,007校の国公私立大学・短期大学を対象とし、回答数は598校。このうち、アントレ教育を実施しているのは27%。1年間でアントレ教育を受講した全国の大学生・大学院生は、全体の1%にあたる約3万人であった。

 アントレ教育に取り組んでいるのは、EDGE-NEXT(次世代アントレプレナー育成事業)に主幹機関・協働機関・協力大学として参加している大学と他一部の大学にとどまっており、国内の大学全体としては普及途上段階。EDGE-NEXT大学以外の大学群の4年制大学では、約7割がアントレ教育の必要性を認識していながらも、実施ができていない状態にあった。

 アントレ教育のおもな取組状況については、EDGE-NEXT大学は約9割が入門ステージのプログラムが整備されている一方、その他4年制大学では約4割、短期大学等では6割が入門ステージのプログラムが整備されていない現状にあった。全プログラムのうち実践編の割合は7%。一部の大学では実践的な内容があるものの、多くの大学では実践的な内容が提供できていなかった。

 この他、アントレ教育を実施している大学の35%は「予算なし」と回答。約70%は年間予算100万円以下だった。また、民間や他大学等、自大学で提供できないリソースに対応できるような外部機関との連携は不十分な状況にあった。

 報告書では、アントレ教育の現状を踏まえた課題として「受講生の裾野が広がらない」「アントレ教育のリソース不足」「成果を生むための仕組みの未構築」「効果検証・成果事例の横展開の不足」の4点をあげ、詳細を分析。「大学内への働きかけと社会へのアントレ意識の浸透」等、課題テーマごと、改善に向けた提案をまとめている。

 その他、特徴的なアントレ教育を実施する国内大学、海外大学の取組事例を課題となる項目ごとに整理して掲載。地方自治体における取組状況についても調査結果を示している。
《奥山直美》

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