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【クレーム対応Q&A】先生が原因で不登校になった

 教師と子供の相性が悪く、そのことによってさまざまな影響が出ることがあります。そういったことが原因で子供が学校に登校できなくなってしまうようなケースです。今回は「教師が原因で不登校になった」をテーマにしたいと思います。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第58回のテーマは「先生が原因で不登校になった」

 教師と子供の相性が悪く、そのことによってさまざまな影響が出ることがあります。そういったことが原因で子供が学校に登校できなくなってしまうようなケースです。今回は「教師が原因で不登校になった」をテーマにしたいと思います。

子供本位で考える


 教師も人間ですし、子供も人間です。さまざまな性格や特徴を持っています。その組み合わせの中で相性が良い場合ばかりではありません。あまり相性の良くない組み合わせとなってしまうこともあるでしょう。そうだとしても、教師と子供の相性が悪いことがきっかけで子供が登校しぶりや不登校になってしまうようでは絶対にダメなのだと思います。

 教師は教えることのプロです。専門職として位置付けられています。子供の育ちに関わることで給料をもらっています。どのようなタイプの子供であったとしても、ある程度の育ちを保障できなければならないはずです。

 学校(教師)は、こういったケースについて、もっと真剣に、子供本位で考えていく必要があると思います。もっと子供や親の訴えを真摯に聞いていくべきでしょう。学校の管理職や教育委員会は、子供の思いをしっかりと聞くことができるような環境を作る努力をするべきでしょう。

 文科省が2021年10月6日に発表した調査結果によると、不登校になった小学生、中学生の約4割が不登校に関して「誰にも相談しなかった」とされています。学校や教師が、登校に関して悩んでいる子供の受け皿に十分には成り得ていないということがわかります。

より良い教育活動のために先手先手で取り組む


 こういったことに関しては、「問題が発生する前にすべきこと」と「発生した後にすべきこと」の2つがあります。望ましい形は、問題が発生しないように教師が日々、研修し、努力していくことです。先手先手でより良い教育活動のために取り組んでいくというやり方です。そういったことをうまくやることができている状況だと問題の発生も少なくなり、充実した学校教育活動が行われていくようになります。

 ただ余裕がなくなり、先手先手で対応ができなくなると、まるでモグラ叩きのような感じになってしまいます。発生した問題に1つ1つ対応していく感じです。時間が経つと共に問題の質も量も増してくると対応ができなくなってしまいます。状況によっては、今回のテーマである「登校しぶり」「不登校」へとつながっていってしまう可能性があります。

 問題が起こってしまい、親からの訴えなどがあったら、先ほども触れたように子供本位で考えていくことが大事です。教師がある意図を持って取り組んだとしても、それが教師の思いとは違った形で子供に伝わってしまう場合もあります。教師の「こうしたい」「こうしたかった」という思いも大事ですが、子供が「どう感じたか」ということも大事です。教師の思いとは違い、一部の子供でも強く否定的な思いを抱いてしまうような取組みはある意味で失敗なのだと思います。子供や親の思いを大事にしながら、丁寧に対応することが大事でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられたクレームの他、保護者が学校へ伝えたクレーム等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたいクレーム事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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