さまざまな相談や苦情が増える時期
新しいクラスが始まり約2か月が経ちます。始めはいろいろと様子見をしていた保護者から、さまざまな相談や苦情が増えてくる時期です。1つ1つの親の訴えには意味があります。きちんと対応をしていきたいものです。今回のテーマは「先生が子供に対してフレンドリー過ぎるので、もっと威厳を持って接してほしい」というものです。
4月のクラス替えの際、教師の子供との関わり方について「あまり厳しい先生でない方が良い…」という親の声をよく聞きます。特に自分の子供が少し繊細な場合「声が大きい」「子供との関わりが厳しい」教師に対して敏感になりこともあります。年度始めの4月は学校への不適応が起こりやすい時期だからです。
ただ少し時間が経つと少し状況が変わってきます。クラスのようすが落ち着かない感じになってくると今度は「子供に対してフレンドリー過ぎるので、もっと威厳を持って接してほしい」という意見が寄せられるようになることもあります。
厳しい指導の弊害
学校では、厳しい指導で学級をまとめていくやり方をしている人がいます。教師が威圧的な態度で子供に接するやり方で、学級が落ち着いていくものです。ただ、それは子供の本来の育ちではないと私は思っています。教師の厳しい指導が何らかの事情で無くなってしまうとその落ち着いた状況が変わってしまうことがあるからです。
たとえば、担任が担当ではない専科の先生の授業(音楽や図工など)や、担任が出張に行き、代わりの先生が来た時などです。そういった時に、普段はきちんとできているものが少しずつ崩れ、何らかのトラブルが発生してしまうということがあります。
このケースを客観的に見ると、威圧的な指導をする教員は、自分がいなくとも子供がしっかりと活動することができるレベルまで子供を成長させられていなかったということになります。そういったことに気付かず、問題の原因を自分ではない他の人にしてしまっています。
逆のケースもあります。教師がきちんと指導すべき場面で指導ができず、集団がダラダラとした感じの状態となってしまうものです。大声を出す必要はないのですが、「ダメなものはダメ」と言うことができることは大切なことです。ダメな理由も含めて、きちんと伝えていくことは大切です。状態がさらに悪化すると「学級崩壊」などと呼ばれる状況になっていくこともあります。
教師は「バランス感覚」が求められる
教師が子供と関わる際、「フレンドリーな面」も「威圧的な面」もどちらも必要でしょう。どちらかに偏りすぎてはダメなのだと思います。両極端な部分を除いた間の部分が求められる部分です。バランス感覚が大切です。どのようなバランスが良いのかは、学級の状況などによって変わります。4月なのか、9月なのか、3月なのかによっても違ってきます。その先生の性格などによっても違ってきます。
今回、話題にした「指導のやり方」だけでなく、教育に関わるさまざまな場面で、教師は「バランス感覚」が求められます。常にそういったことを意識していたいものです。