日本私立大学団体連合会は2021年5月6日、文部科学省に要望書を提出した。大学の授業は原則オンラインとする一部の地方自治体と、対面授業を重視する文部科学省の見解の違いで大学現場が混乱しているとして、要請等に際しての統一見解や感染防止対策のさらなる公的支援を求めている。 要望書は、日本私立大学団体連合会に加盟する日本私立大学連盟、日本私立大学協会との連名で、5月6日付で文部科学省に提出した。 私立大学は2020年4月以降、オンライン授業体制を整え、学生の学修継続の環境を確保。後期の授業以降は、感染防止対策を講じながら対面と遠隔授業を併用し、2021年度は多くの私立大学が全面的に対面授業に戻す、あるいは対面授業の割合を上げて対応している。 要望書では、「授業は原則オンライン」を大学に要請する地方自治体がある一方、文部科学省は通知で「さまざまな工夫のうえで実施する」として、従来からの対面授業を重視する考えを示しており、双方の見解の違いによって大学現場に混乱が生じていると指摘。「国と地方自治体間の見解の齟齬(そご)は、学生の学修体制に大きな影響を与えるだけでなく、地域に貢献する大学の責務に鑑みれば、日本社会全体への影響も懸念される」と訴え、学生の学修機会の確保と感染防止対策の徹底に向け、国と地方自治体間の統一的見解と、大学に対する感染防止対策のさらなる公的支援を要望している。 行政機関が大学へ要請等を行う場合には、「国や地方自治体との密接な連携に基づく統一的な内容である」ことを要望。各大学が迅速かつ柔軟に非常における教育研究体制の対応にあたれるよう支援してほしいとしている。 また、学生が安心して対面授業に臨めるよう、大学キャンパスや学生寮に対し、PCR検査をはじめとする感染防止対策のさらなる公的支援も求めている。