文部科学省は2021年1月8日、令和2年度(2020年度)教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果を公表した。小中学校における教職員の時間外勤務が月45時間以下の割合は、臨時休業中は大幅に増加したが、学校再開後は前年度よりも減少していた。 調査対象は、学校(公立の幼稚園から高校)の教職員の服務監督をするすべての教育委員会や事務組合など(47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、1,723市区町村教育委員会・事務組合など)。1,790のすべての教育委員会などが回答している。調査基準日は2020年9月1日時点。 ICカードやタイムカードなど客観的な方法で勤務実態を把握している割合は、都道府県91.5%(前年度66.0%)、政令市85.0%(同75.0%)、市区町村71.3%(同47.4%)と、前年度(2019年度)に比べて大きく伸びていた。 小学校教職員の「時間外勤務 月45時間以下」の割合は、全国的に臨時休業していた4・5月は前年度より30~40%増、6月は6%増。一方で、学校再開が本格化した7月からは夏季休業期間の短縮も影響し、前年度より5%程度減少している。勤務時間「増」に作用する「長期休業期間の短縮」「教員による清掃・消毒作業」は、95%弱の自治体で地域差なく全国的に実施されていた。 中学校教職員の「時間外勤務 月45時間以下」の割合は、臨時休業中の4・5月は前年度より50%増、6月は10%程度の増であった。小学校より増え幅が大きい要因は、「部活動の活動時間の短縮・自粛」の影響が大きいとみられる。一方で、7月からは夏季休業期間の短縮も影響し、前年度より3~8%減少した。勤務時間「減」に作用する「部活動の活動時間の短縮または自粛」は、約9割の自治体で実施。そのほかの項目は小学校とほぼ同じ傾向であった。 高校教職員の「時間外勤務 月45時間以下」の割合は、4~7月を通して前年度よりも増加。8月も前年度と同水準を維持した。勤務時間「増」に作用する「長期休業期間の短縮」「教員による清掃・消毒作業」は、全国的に高水準で実施。小中学校の勤務実態の傾向と少し異なる状況となった要因は、相対的に「平日における授業時間数の増加」の実施率が低いことや「部活動の活動時間の短縮または自粛」が高いことが考えられるという。 長期の臨時休業による学習の遅れを取り戻すための補習など、教員の負担軽減を担う学習指導員は、都道府県68.1%、政令市100%、市区町村60.2%で配置している。感染症対応のための消毒作業やそのほかの事務作業などを担うスクール・サポート・スタッフを配置している自治体は、都道府県85.1%、政令市100%、市区町村78.1%であった。 部活動指導員などは、すべての都道府県・政令市で配置している。市区町村は64.3%が配置しており、「実施に向けて検討中」19.8%、「特に取り組んでいない、取り組む予定はないなど」15.8%であった。 令和2年度(2020年度)教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果は、文部科学省のWebサイトで公開されている。