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私大連盟「対面授業再開」「授業料等」に関する見解を公表

 日本私立大学連盟は2020年9月17日、私立大学の「対面授業再開」と「授業料等」に関する見解を公表。私立大学に対する社会からの理解を得ることを目的に、新型コロナウイルス感染症の対応に係る課題や実情を広く共有し、授業料などに関する考えを公表した。

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私立大学の「対面授業再開」と「授業料等」に関する見解を公表
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 日本私立大学連盟は2020年9月17日、私立大学の「対面授業再開」と「授業料等」に関する見解を公表。私立大学に対する社会からの理解を得ることを目的に、新型コロナウイルス感染症の対応に係る課題や実情を広く共有し、授業料などに関する考えを公表した。

 文部科学省が9月15日に発表した「大学等における後期等の授業の実施方針等に関する調査」では、後期授業はほぼすべての大学が対面授業を実施するとの結果が示された。大学は中・高等学校とは異なり、キャンパスに何千人という18歳から22歳を中心とする若者が集まり、クラスターが発生しやすい環境にある。教室(授業)を管理できたとしても、教室以外でのキャンパス内(体育館、グラウンド、学生会館、図書館、食堂、ラウンジ等)の行動、長時間をかけてバス・電車などを乗り継ぐ通学、課外活動など行動範囲の広い若者たちの活動を管理することが極めて難しいのが大学である。

 私立大学は、対面授業とオンライン授業の併用に積極的に取り組み準備しているが、課題が山積しているという。たとえば、同日に対面授業とオンライン授業が行われる場合、対面授業のために通学した学生は自宅に戻ることなくキャンパス内でオンライン授業を受けなければならず、感染防止と遮音に配慮した通常より広い自習室のスペース確保と通信環境の整備などが必要となる。

 さらに、感染を恐れて対面を希望しない学生に配慮し、一つの授業においてオンラインと対面を併用した場合の撮影や配信の技術的課題、教室や施設の消毒や秋冬に向けて窓を閉めても十分な換気ができる空調設備の工事、感染予防や感染者が出た場合の検査費用の負担などさまざまな問題がある。

 大学がもっとも憂慮することは、学生の感染者が出た場合、感染していない学生を含め風評被害を受け、学生が後ろめたい思いをしたり、就職活動において差別を受けるなどの風潮が強まることである。学生に対するフォローとケアのために対策を立てることが大学の最優先事項である。

 また対面授業が重要であると同時に、普及しつつあるオンライン授業について、より一層取り組んでいく必要がある。オンラインによる大規模な授業や学術交流イベントを展開する際に、システムのダウンを避け、あるいは学生や研究者が同じ条件で参加できるよう教室や会議場の通信環境を向上させるなど、インフラ整備に巨額の投資が必要であり、公的な支援が求められる。

 大学に対する国の補助は、国立・私立の学生1人当たりで比較した場合、国立大学生は194万円、私立大学生は15万円と約13倍の格差がある。さらに施設・設備費については、国立大学は全額補助だが私立大学は2分の1しか補助されない。新型コロナウイルス感染防止策に関する支援もなく、格差の分だけ、私立大学で学ぶ学生や家族・保証人が家計から教育費を負担していることになり、不公平感は拭えないとしている。

 「授業料」については、オンライン授業や対面授業などの一授業科目の履修を単位として積み上げているものではなく、学位授与を見据え、その準備を含めた総合的な教育環境を提供するための経費である。また「施設設備費」は、単なる利用料としての経費ではなく将来の設備充実のための投資資金と位置づけられ、私立大学の教育研究環境の充実に向けて、キャンパスや設備の維持、管理等に当てられており、授業料と同様に減額・返還の対象ではないという。

 私立大学は今後、定着しつつあるオンライン授業をブラッシュアップし、学生の学びの選択肢を広げたいと努力している。今必要なことは、その努力とともに社会からの私立大学に対する正しい理解であり、私立大学の取り組みを支える政府の支援であると訴えている。
《田中志実》

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