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中高生と塾との出会いをサポート、CLEAR「MEETS」の取組み

 学習ノート共有アプリ「Clear」運営会社・CLEARの代表である新井豪一郎氏に、塾でのオンライン学習の広まり方をテーマにご寄稿いただいた。

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画像はイメージです
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  • アクティブユーザー数の推移
  • ユーザーのノートイメージ。楽しく学習しながら学ぶ力もつくことで、多くの中高生の支持を得ている
  • 潜在層の割合(中学生)
  • 潜在層の割合(高校生)
 緊急事態宣言が解除され、全国の小・中・高校の登校も再開された。しかしながらこの数か月での学習の遅れや、また同じような状況がやってくるのではないかと不安を抱える保護者や生徒も多いだろう。

 こうした中、塾や予備校ではオンライン授業を行うところが増えている。そこで本企画では、学習ノート共有アプリ「Clear」運営会社・CLEARの代表である新井豪一郎氏に、塾でのオンライン学習の広まり方をテーマに寄稿いただいた。

新型コロナウイルスが変える学習方法



 この記事を執筆している2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響で多くの小・中・高校が休校をし、中高生によるオンライン学習サービスの利用は急速に増えている。CLEARの提供するオンラインノート共有サービス「Clear」も例外ではなく、4月の月間アクティブユーザー数は昨年同時期の2倍近くに増えた。

アクティブユーザー数の推移
アクティブユーザー数の推移

 弊社は「Clear」のサービス提供のほか、都内で7年間学習塾を運営しているのだが、多くの生徒が自宅で宿題や自習を1人で行えなかった。これが一般的な中高生の姿ではないだろうかと考えている。

 「Clear」は、ノート共有やQ&Aによって学生同士で勉強を教え合うことで、1人で学習しているときの「わからない」を解決できる。学習の心理的ハードルを下げつつ、ほかの学生に質問したり調べたりすることで、自分の理解状況を客観的に把握し、解決策を探る力を養うこともできる。

ユーザーのノートイメージ。楽しく学習しながら学ぶ力もつくことで、多くの中高生の支持を得ている
ユーザーのノートイメージ。楽しく学習しながら学ぶ力もつくことで、多くの中高生の支持を得ている

 「Clear」の日本国内の月間アクティブユーザー数は155万人。中高生の約5人に1人の割合で利用される国内最大級の学習サービスだ。日本国内だけでなく、展開しているアジア4か国でも新型コロナウイルスによる外出自粛の影響をうけて急速にユーザーが増え、260万人を超えた。

学習塾もオンライン化の波



 緊急事態宣言後、社会人の中にもこれを機にSlackやZoomなどのオンラインでコミュニケーションを図るツールを使い始めた人は多いだろう。その便利さゆえに、コロナ収束後もコミュニケーションの一部分がオンラインに移行したままであろうと私は予想している。

 同様に学生たちの学習方法も、コロナの収束後にも完全にもとに戻るということはなく、多くの学習体験がオンラインを通じて提供されるようになると考えている。とはいえ、これは学習体験のすべてが人からITに置き換わるということではない。学習塾や学校による指導において、コミュニケーションの一部がオンラインに移行した後も、そこには必ず人が介在するからだ。

 これまで日本の学習塾業界は中国や台湾、タイなどの学習塾と比較すると、指導をオンライン化することに対して消極的だった。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、その傾向に変化がみられるようになった。

 全国学習塾協会が学習塾を対象に2020年4月14日~19日に行った調査によれば、すでにオンライン授業に転換している学習塾は53.9%、導入する予定と回答した学習塾は21.1%。合わせると7割以上の学習塾事業者がオンライン授業導入に積極的な姿勢を見せていることがわかる。

学習塾業界の潜在的市場規模は
現状よりも16%も大きい



 日本では近年、学習塾市場が縮小していると言われている。経済産業省の「平成29年特定サービス産業実態調査」によれば、学習塾業界の市場規模は9,320億円(2017年)。2013年の市場規模9,671億円から約3.7%減少している。

 一方で、塾に行きたいと考えているけれども実際には通塾をしていない「潜在層」を含めると市場規模はどれほどあるのだろうか。

 「Clear」の中高生ユーザーを対象にアンケートを行ったところ、「潜在層」は中学生で15.5%、高校生で16.4%存在することがわかった。なお、この「潜在層」には経済的・地理的理由で通塾できない回答者を含んでいない。

潜在層の割合(中学生)
潜在層の割合(中学生)

潜在層の割合(高校生)
潜在層の割合(高校生)

 潜在層を含めた学習塾の本当の市場規模は9,320億円よりも16%大きく、約1兆811億円ほどであろうと考えている。重要な点は、通塾していない理由には「行きたい塾が見つからない」「なんとなく」という回答が80%を超えており、「行きたい」と思える塾に出会える仕組みを作ることで、市場規模を拡大することができるということだ。

 学習塾がオンラインでの指導に対応し始めたことで、社会的な教育基盤としての学習塾の役割が高まっている。「Clear」では中高生たちが自分に合った学習塾を探し、塾と学生が出会う仕組みを提供している。出会いを生むという意味で「MEETS」という名称をつけている。

 現在、新型コロナウイルスの影響で中高生やその保護者はオンラインで学習する機会を求め、学習塾もオンライン指導による新たな生徒を求めている。この「MEETS」の仕組みを使うと塾はプロとしてノートを公開できる。プロノートを見て学習塾に興味をもった地域の中高生が無料体験授業に申し込むことが可能なため、塾と中高生を結び付けるプラットフォームとして作用する。

 なお、2020年2月末に弊社は楽天株式会社と提携し、中高生だけでなく保護者が学習塾に無料体験授業などの申し込みができるサービス「CLEAR 塾えらび powered by Rakuten」をリリースした。「MEETS」や「Clear」と併せて運用することで、中高生がより主体的に学びを深めるための手伝いをしたいと考えている。

(協力:CLEAR)
《編集部》

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