これまでの約3年間どのようにタブレットを活用して学習してきたのか、また、コロナウイルス感染拡大の影響による休校中の現在、どのように活用しているのかを渋谷区教育委員会に聞いた。
クラウドに宿題を生徒が保存
--コロナウイルス感染拡大の影響による休校前(日常)のICT利活用について教えてください。
使用しているのは、おもに児童・生徒と先生です。利用方法は、先生が学級のクラウド内のフォルダに課題を入れ、それを児童・生徒が見て、各自のノート等に課題を行っています。それを写真撮影して、クラウド内のフォルダに自身の名前を付け保存し、それを教員が確認する、という使い方をしています。また、問題集を多く入れているソフトを利用して、進度に合わせた問題を宿題として提示する。それを児童・生徒が行うことで、誰がいつ行ったかを把握することができます。また、各自の課題に合わせてソフトを利用して自習を行うこともできます。理科の観察や移動教室での班行動、調べ学習やまとめのプレゼンテーションなどにも使っていました。
--今回の休校時の対策に、ICT利活用の経験をどのように生かしていますか。
休校前と同様に使用しています。そのほか、健康観察として日々の検温の状況を個人のシートに記入しています。オンラインでの授業や質問などの対応は、現在はできていませんが、今後はできるように検討を進めているところです。
コロナ禍で見えてきた課題
--コロナの影響による休校対応で見えてきた課題を教えてください。
「学習の保障」が課題です。今後の学校再開後の学習計画の見直しを行い、各教科等の学習内容を定着させていくような取組みを行っていきます。
--課題解決のための今後の渋谷区の取組み・計画を教えてください。
渋谷区、教育委員会行事の精選、授業時数確保のための検討、タブレットなどのICT機器を利用した授業、補習、課題の提示などの取組みの充実を考えています。
--ありがとうございました。
オンライン授業やデジタル教材の導入には、各家庭の通信環境整の違いが懸念されることのひとつだろう。渋谷区はLTE端末を導入したことから、家庭の通信環境は必要なく、学校でも家庭でもLTE回線が入る場所ならどこでも問題なく利用できている上に、通信費も区が負担している。区の費用負担は家庭の負担が減り助かるところもあるが、家庭により異なる事情や考えに対応できるものではないかという見方もできる。中高一貫校や高等学校では自分の端末を持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)を方針とする学校も少なくない。近い将来タブレットやパソコンを使うなら早いうちから自宅で使わせたい、自分が使いやすい端末を学校でも使いたい、すでに通信環境があるのでもっとICT活用を進めてほしい、保護者自身がITの知識がないので不安…など、家庭ごとの事情や考えに、自治体・学校がどのように整備を進めていくのか。子どもたちの学びを止めないための素早い判断と行動に注目が集まっている。