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【クレーム対応Q&A】学級だよりに一部の子どもだけ載る

 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第18回は「学級だよりに一部の子どもだけが載っている」。

学校(学級)と家庭をつなぐ
「学級だより」


 学校(学級)と家庭をつなぐものとして「学級だより」があります。私も小学校の担任をしていた頃、学級だよりを出すことが多かったです。ある年は、可能な限り毎日出すということをしていました。年間で約200回程度の発行でした。今でもそれらを保管してあり、時折読み返すと、色々なことが思い出されます。

 学級だよりの役割はいくつかあります。持ち物などを知らせる事などと共に、学級で起こったさまざまな出来事などを掲載します。公になるものなので、子どもの悪い点などを載せる事はあまりなく、良い点を載せる事が多いはずです。子どもは褒める事で伸びるという面があります。家庭で親から褒めてもらう事で、さらに伸びが促進されていきます。

 ただ学級だよりでは、掲載の内容に関して、きちんと配慮をしていかないと、保護者からクレームが入ることもあります。たとえば、成績優秀者などを掲載した際に、なぜ一部の子どもだけが掲載されるのかということなどです。掲載の回数の差があるのではないか、具体的には自分の子どもの掲載が少ないのではないかというクレームです。

掲載回数を記録していくことが大事


 学級だよりに名前や写真などを載せていく場合は、その回数を記録していくことが大事になります。私は、子どもの名前や写真を載せる際には、誰が載ったのかという事を名簿に記録するようにしていました。

 クラスの子どもの中にさまざまな面で活躍する子どもがいます。学習においても良い学びをし、その他の場面でもリーダーシップを発揮するような子どもです。教師が意識しないとどうしてもそういった子どもを学級だよりで多く取り上げてしまうことになりがちです。

 逆になかなか目立つ点を見つける事が難しい子どももいます。学級だよりへの掲載の回数を確認していくと少ない子どもです。学級の人数が多くなる程、そういった子どもの数が多くなってしまいます。そういった子どもを意識して関わるようにする事で、学級だよりに掲載するような事柄が見つかります。学級だよりへ掲載するということをきっかけに多くの子どもを丁寧に見る(関わる)ことにつながります

卒業アルバムは、学級だより以上に配慮が必要


 こういった事は、実は、学級だよりだけでなく、卒業アルバムでも同様です。卒業アルバムを作る際、私が勤めていた小学校では、学級担任がクラスのようすについてのページの作成をしていました。子どもが活動している写真の中から適切なものを選び、レイアウトをしていっていました。そういった作業をしていても、目立つ子どもがいます。たくさんの写真に映り込んでいる子どもです。逆に少ない子どももいます。卒業アルバムは、学級だより以上に配慮が必要となります。学級だより以上に記録として残るものです。値段も安いものではないので、親も神経質になる場合があります。卒業アルバムは一度印刷してしまうと作り直しがしにくいものです。また、卒業というタイミングで揉め事が起こると、そのクラスで過ごした一年間の後味が悪くなってしまいます。作成の段階で丁寧に取り組むようにしていきたいです。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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