進学する大学とは別に併願受験して合格した大学にも入学金を納付する入学金の「二重払い」問題。文部科学省が求める負担軽減制度を導入している都内の私立大学は120校中4校にとどまることが2025年11月18日、民間団体「入学金調査プロジェクト」で明らかになった。
大学受験では、第1志望が私立大学の場合、先に合格した第2志望の大学に入学金を支払い、入学先を確保しておく受験生が少なくない。ただし問題となるのは、第1志望に合格して第2志望への入学を辞退した場合でも、すでに支払った入学金が返金されない点だ。
日本の入学金制度のあり方や高等教育の置かれた状況に問題意識をもつ有志の若者らが集まり結成された緊急行動「入学金調査プロジェクト」は11月18日、入学しない大学への入学金に関する調査結果を公表した。
調査の結果、入学金の負担軽減制度のある大学は都内の私立大学120校のうち、わずか4校(約3%)にとどまることが明らかになった。調査では、産業能率大学、大東文化大学、嘉悦大学、文化学園大学の4大学のみ、分納や延納など入学金の負担軽減制度を明記していることを確認した。さらに、日本全国の大学が「入学しない受験生から得た入学金収入」は、総計約355億円にのぼることが判明したという。
同プロジェクトは、あすのばとの共同で当事者へのアンケートを実施。当事者からは、「入学するかどうかわからないのに先に支払いはおかしい。制度のせいで選択肢が狭まり、限られた大学にしか行けなかった」(20歳・社会人)、「第一希望の結果が後で、入学金の工面が間に合わない。2校分の入学金で莫大な負担になり、最終的に受験を諦めました」(38歳・シングルマザー)といった声が届いているという。
文部科学省は6月、全国の私立大学に対し、入学しない学生の入学料負担を軽減する方策を検討するよう通知を発出。入学金「二重払い」問題にともなう経済的負担を抑える取組みを求めている。また、11月時点で同省が負担軽減の取組状況の実態調査を開始したとの一部報道もあり、今後、各大学の対応が注目される。








