あべ文部科学大臣は、2025年3月14日に記者会見を行い、公立高校の入学者選抜の実施方法の在り方や、高等教育の修学支援制度の拡充に関する周知、中央教育審議会委員の任命に関する意見と国立大学の授業料の在り方などについて説明した。
会見では、公立高校の入学者選抜におけるデジタル技術の活用を推進する方針を示した。あべ文部科学大臣は、各都道府県教育委員会が出願方法やデジタルシステム導入の可否を決定することを前提に、受験機会の複数化や選抜方法の多様化に配慮し、入学志願者の利便性向上と教職員の負担軽減を目指す取組みを進めるよう依頼している。
また、2025年4月から多子世帯を対象とした大学無償化が始まる。高等教育の就学支援制度の拡大に伴い、支援対象者数が大幅に増加することから、文部科学省は積極的な情報発信を行う方針だ。2024年1月からSNSや動画、テレビ放送、インターネット広告を活用し、制度内容をわかりやすく発信している。さらに、新高校3年生全員にリーフレットを配布し、中学3年生にも周知資料を提供するなど、丁寧な周知を続ける。
一方、国立大学の授業料に関する議論も進行中だ。島根県知事が中央教育審議会の委員任命について非難し、国立大学の授業料値上げに反対する意見を表明したことに対し、あべ文部科学大臣は、国立大学の役割や私立大学の授業料水準、社会経済情勢、家計負担状況を総合的に勘案する必要があると述べた。今後、国立大学法人等の機能評価に向けた検討会で、教育研究コストの適切な負担について議論を深めていく方針を示した。