文部科学省は2024年12月20日、初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(案)を公表した。このガイドラインは、教育現場における生成AIの適切な利活用を促進するために策定されたもので、教職員や教育委員会を対象に、生成AIの基本的な考え方や利活用の際に押さえるべきポイントを示している。
生成AIは、急速に進化を遂げ、社会に広く普及している。教育分野においても、その利便性を生かした活用が期待されているが、一方で、学ぶことの意義や倫理的・社会的な論点、セキュリティの確保など、さまざまな課題が指摘されている。文部科学省は、これらの課題に対応するため、生成AIの利活用に関する暫定的なガイドラインを2023年7月に公表しており、今回の改訂案はその後の技術進展や現場の意見を反映したものである。
新たなガイドラインでは、生成AIの利活用が教育現場でどのように行われるべきかについて、具体的な指針が示されている。特に、生成AIを人間中心の道具として捉え、児童生徒の学びに寄与する形での利活用が求められている。生成AIの出力は参考の1つに過ぎず、最終的な判断は人間が行うべきであるという基本姿勢が強調されている。
また、生成AIの利活用を通じて、情報活用能力の育成強化が図られることも期待されている。情報活用能力は、学習指導要領において学習の基盤となる資質・能力として位置付けられており、生成AIの急速な進化に対応するためには、情報を主体的に捉え、活用する力が重要であるとされている。
さらに、教師の役割も重要視されている。生成AIが社会インフラの一部となる時代において、教師はAIリテラシーを身に付け、生成AIを効果的に利活用するための知識を持つことが求められている。これにより、教育活動における生成AIの利活用がより効果的に進められることが期待されている。
文部科学省は、生成AIの利活用が進む中で、学校現場が混乱したり不安を感じたりすることなく、学習指導要領に示す資質・能力の育成に向けて適切に生成AIに向き合い、利活用することができるよう、学校現場の視点から基本的な方針および実務的なポイントを整理し、ガイドラインとして示している。このガイドラインは、生成AIの利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではなく、学校現場での生成AIの利活用に関して、各場面や主体に応じた留意事項を具体的に示している。
文部科学省は、生成AI関連事業者にも、学校現場との連携を通じて生成AIサービスの改善や研修機会の提供を行うことを求めている。これにより、学校現場のニーズを反映した生成AIサービスの提供が進むことが期待されている。
今回のガイドライン改訂は、生成AIの利活用が教育現場で適切に進められるための重要な指針となる。学校現場では、ガイドラインを参考に、生成AIを活用した教育活動を進めることが求められている。