2023年度(令和5年度)、全国の公立小中学校の約2割が教員欠員を補充できていなかったことが、全国公立学校教頭会の調査結果から明らかになった。2024年度は年度当初での欠員がさらに増加しており、学校現場において教職員不足が極めて厳しい状況にあることがわかる。
調査は、副校長・教頭のおかれている現状を的確に把握し、教育現場の課題解決などに役立てることを目的に実施。今回は、「教員不足問題の現状」「副校長・教頭マネジメント支援員の配置」「GIGAスクール構想への対応」の3点を緊急課題として取り上げ、調査を行った。対象は全国公立学校教頭会の全会員。2024年6月から7月にかけて実施し、回答率は79.53%(2万1,794人)。
1点目の「教員不足問題の現状」については、2023年度、約20%の小中学校において本来配置されるべき教員が配置されなかったことが判明。年度当初から教員が欠員状態であったのは、小学校12.3%、中学校12.2%。出産や育児にともなう休暇、療養などにより年度途中に生じた欠員を補充できなかった学校は小学校で9.0%、中学校で7.0%だった。小中学校ともに前年度に比べ大きな差異はなく、欠員状態の学校が小学校では0.4ポイント増加、中学校では0.7ポイント減少している。
欠員が配置されなかった場合の対応としては、副校長・教頭が「授業の一部」を担うケースが小学校で8.9%、中学校で8.6%。「担任の代替」を担うケースが小学校で6.6%、中学校で1.3%、小中学校全体では4.8%。「授業以外の活動」を担うケースは小学校で5.7%、中学校で9.3%となっている。特に「担任の代替」を担うケースが小中学校全体で4.8%にのぼる状況は深刻であると分析。副校長・教頭に過度な負担がかかるだけでなく、校務全体の停滞にもつながる恐れがあるとして、放置できない危機的な状況だと指摘している。
2024年度については、始業式の時点で全体の約21%が何らかの教職員未配置があると回答。校数にすると全国で4,500校以上となり、そのうち1,100校では複数人未配置の状況にあるという。2023年度の結果をみると、年度途中からの未配置が小中学校平均で8.3%発生しており、2024年度も同様の事態となる可能性があることから、教員不足の状況はさらに悪化していると思われる。
また、小学校高学年に専科を配置している学校は48.6%にとどまり、配置している学校でも専科教員が1名のみの学校が31.2%と多数を占めることから、いまだに80%近い小学校では学級担任の負担が大きい状況にあることが予測される。
調査結果は、全国公立学校教頭会のWebサイトから見ることができる。残る2つの緊急課題「副校長・教頭マネジメント支援員」「GIGAスクール構想への対応」については別記事にて紹介する。