文化庁は2023年9月19日、2022年度「文化部活動の地域移行に関する実践研究事例集」を公開した。地域部活動推進事業33市区町村、地域文化俱楽部(仮称)創設支援事業57文化芸術団体らの取組事例を見ることができる。
中学校の部活動をめぐっては、活動経験のない教員が指導せざるをえなかったり、休日も含めた指導が求められたりするなど、教師にとって大きな業務負担となっている。こういった状況を踏まえ、文化庁では2021年度から委託事業「地域部活動推進事業」および「地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業」を実施。2022年12月には「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定。2023年度から2025年度までを「改革推進期間」として位置づけ、休日の部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行について、可能な限り早期の実現を目指すこととしている。
「文化部活動の地域移行に関する実践研究事例集」は2021年度版から作成。各地方公共団体や学校・文化芸術団体などの取組みにおいて参考になることを目的として、地域文化倶楽部(仮称)の創設に向けた実践研究における事例集を掲載している。
事例集では、地域部活動推進事業や地域文化俱楽部(仮称)創設支援事業の取組事例を紹介。秋田県大館市、新潟県胎内市、兵庫県加古川市 、鹿児島県与論町、福井県敦賀市、静岡県浜松市の事例や、世田谷文化財団、掛川文化クラブ、守山市文化体育振興事業団、観音寺マーチィングバンドの取組事例を掲載している。
このうち、秋田県大館市では、大館市教育委員会が運営主体となり、市内9中学校で4人の専門講師(全体合奏・管楽器・木管楽器・打楽器の指導者)を共有し、市内で同じ指導を受けられる体制づくりを実施。中学校での指導経験のない地域の見守り指導者が、運営に関わりながら専門講師の指導方法を学ぶなど、将来的な地域指導者を育成する取組みも行っている。
また、世田谷文化財団(東京都)では、演劇部が存在しない学校の生徒に演劇活動の機会の提供。掛川文化クラブ(静岡県)では、市内の小学校・中学校の楽器調査を実施し、使用できそうな楽器を修理、地域の団体より譲り受けるなどして、管楽器・弦楽器を準備し、吹奏楽部などの楽器をすべて貸し出している。
事例集は全123ページのPDFファイルで、文化庁のWebサイトで公開している。地域部活動推進事業については33市区町村、地域文化俱楽部(仮称)創設支援事業については57文化芸術団体らの事例を見ることができる。