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【相談対応Q&A】スポーツ飲料を許可してほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第131回のテーマは「スポーツ飲料を許可してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第131回のテーマは「スポーツ飲料を許可してほしい」。

熱中症予防に大事な
「水分補給」

 5月になり、一気に暑さが本格化してきています。関東地方では、35度を越す気温になっている場所もあります。そういった中で注意が必要なのが「熱中症」です。前回の記事で運動会やその練習での熱中症の危険性について話題にしました。その際に話題にしなかったのですが、熱中症予防において重要な要素となるのが「水分補給」です。

 「水分補給」が熱中症の予防に重要であることはさまざまな研究成果から示されています。飲むタイミングに関しても「喉が乾いてから」ではなく、定期的に水分補給をすることによって「喉が乾かないようにする」ことが望ましいとされています。そういったことを踏まえると、暑い時期の運動(その他の活動においても)では、一定の間隔で水分補給の時間を設定することが望まれます。

 学校への水筒の持参はこの10年程で一般的になったように感じます。私が横浜市で小学校の教員として勤務を始めた約30年前は水筒を持参してくる子供はいなかったと記憶しています。熱中症が話題になるにつれて水筒の持参が増え、コロナによってさらに増えたように思います。

 その水筒の持参において学校で考える必要が出てくるものが「水筒の中身」です。医療関係者などによると、熱中症予防を考えた際、水やお茶よりもスポーツ飲料のようなもの(塩分などが入ったもの)の方がより良いとされています。こういったことを踏まえると、学校に持っていく水筒の中身にスポーツ飲料などを入れても良いのではないかという議論が起こります。さらにそれが進み、スポーツ飲料が良ければ、他のジュースなども構わないのではという話になっていく可能性もあります。

学校におけるルールを考える

 こういったものは「学校におけるルール」について考えていく良い機会になると思います。まず「スポーツ飲料を可とするか?」という問題があります。「可とする」のであれば「範囲はどうするのか?」という問題も生じます。これは各学校で話し合えば良いことだと思います。私は、スポーツ飲料も構わないのではと個人的には考えます。ただジュースなどまで何でも良い訳ではなく、商品名だと「ポカリスエット」「アクエリアス」などに類似したものという範囲にすると良いのではと思います。厳密に「これは良い、あれはダメ」というルールを決めるのは難しいですし、そうなると運用が大変になります。商品は多数ありますし、類似なものについての扱いが難しいです。今回の水筒の中身だけではないですが、学校は大まかな方向性を決め、細かい部分については、その都度対応(相談)するという感じで良いのではと思います。

 学校は、子供や保護者が迷わないように、ルールなどを厳密に決めようとする傾向があるように思います。確かに明確になっている方が良い面もあるのですが、逆の面もあります。そのルールを制定する際の手間が大変ですし、変更の度に周知する必要があります。厳密に決めたのに「例外」のようなものがいくつもできてしまうような状況は、かえってわかりにくくなります。そういった内容に関しては、今回私が書いたように少し遊び(緩み)のようなものがある状態でルールを決めると良いのではと思います。ガッチリと決めたルールよりも運用がスムーズにできるのではないかと思います。こういった話は、高校の制服などでも同様なのだと思います。学校が厳しくルールを決め管理をしていくというやり方は、時代に合わない部分もあるのではと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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