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保育士の約8割「行事に精神的負担」身体的負担も

 保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香は、「保育現場」に関する調査内容を取りまとめた「【2023年】保育現場白書」を公開した。行事業務について保育士の約8割が「精神的負担」、約7割が「身体的負担」を実感していることが明らかとなった。

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 保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香は、「保育現場」に関する調査内容を取りまとめた「【2023年】保育現場白書」を公開した。行事業務について保育士の約8割が「精神的負担」、約7割が「身体的負担」を実感していることが明らかとなった。

 「【2023年】保育現場白書」は、2023年2月10日発表の「保育士の行事業務の負担に関する実態調査」、2022年12月26日発表の「物価高騰・円安に伴う保育への影響に関する実態調査」、2022年9月30日発表の「【定点調査2022】マスク着用による保育の変化にまつわる調査」の3つの調査について掲載されている。

 白書によると、園児や保護者にとって、行事は園生活の思い出となる重要な役割を果たしていることが明らかとなった。保育園での実施行事には「卒園式」(82.4%)や「クリスマス会」(81.5%)があり、行事に関する業務の7割以上が「制作の準備」(74.1%)、「行事後の片付け」(71.3%)となった。

 また、全体のうち行事業務の割合は、半数以上が「30%以上」と回答。行事業務に関しては、約8割の保育士が「精神的な負担」を実感していることが判明した。

 さらに、約7割の保育士は「身体的な負担」も実感しているということが明らかとなった。その理由には、「残業や持ち帰りの仕事があった」(53.8%)があげられた。

 2018年に厚生労働省が発表した「保育所保育指針解説」では、行事は「保育所と家庭での日常の生活に変化と潤いがもてるように、子供の自主性を尊重し、日々の保育の流れに配慮したうえで、ねらいと内容を考える」とされている。

 しかし、その一方でこれらの行事が「園児ひとりひとりに向き合った保育」の実現に繋がってはいない実態が浮き彫りとなった。おもな理由として、保育士への業務負荷が課題であると考えられ、身体的だけではなく精神的にも負担が深刻化していることがうかがえる。

 保育士の心身の健康は保育の質を左右する他に、心身の安全性が確保できない労働環境が続くと離職率が高まる懸念もあり、人材不足はさらに深刻化する恐れがあるという。

 明日香は、「さまざまな業種において健康経営が叫ばれる近年においては、保育園においても健康経営に取り組む必要があるといえる。保育士が働きやすい環境作りが叶うことで、保育園の行事はより園児に向きあった保育に繋がりやすくなるのではないか」とコメントしている。

《いろは》

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