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「令和の日本型学校教育」を担う教師のあり方、中間まとめ公表

 文部科学省は2022年10月5日、中央教育審議会の特別部会による中間まとめを公表した。「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等のあり方について、最短2年間で必要資格が得られる教職課程の特例的な開設等、具体的な対応方策を示している。

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中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会 中間まとめ概要」
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 文部科学省は2022年10月5日、中央教育審議会の特別部会による中間まとめを公表した。「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等のあり方について、最短2年間で必要資格が得られる教職課程の特例的な開設、教員採用選考試験の早期化・複線化等、具体的な対応方策を示している。

 中央教育審議会は、2021年3月に文部科学大臣から「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等のあり方について諮問されたことを受け、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の在り方特別部会」を設置。「教師に求められる資質能力の再定義」「多様な専門性を有する質の高い教職員集団のあり方」「教員免許のあり方・教員免許更新制の抜本的な見直し」「教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化」「教師を支える環境整備」という5点の諮問事項について議論を進めてきた。

 検討事項のうち、教員免許更新制については特別部会の下に教員免許更新制小委員会を設け、6回の審議の後、2021年11月に審議まとめ「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」を公表。残りの諮問事項について、特別部会の下に基本問題小委員会を設置し、8回にわたり議論。今回、すでに示した審議まとめの内容も含め、中間まとめ「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~『新たな教師の学びの姿』の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築~」を取りまとめた。

 中間まとめは、第I部「総論」と第II部「各論」で構成。第I部では、今回の議論の前提となる子供たちの多様化と社会の変化、教師の養成・免許・採用・研修に関する制度と実態を紹介したうえで、今後の改革について「『新たな教師の学びの姿』の実現」「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」「教職志望者の多様化や、教師のライフサイクルの変化を踏まえた育成と、安定的な確保」という3つの方向性を示している。

 第II部では、諮問で示された5つの項目それぞれに対応した具体的な対応方策を提示。教師に求められる資質能力の柱については、「教職に必要な素養」「学習指導」「生徒指導」「特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」「ICTや情報・教育データの利活用」の5項目に再整理し、教職課程を設置する各大学において自己点検・評価の中で、こうした資質能力を身に付けられるようなものになっているか確認することが必要だと指摘している。

 教職課程における多様な専門性を有する教師の養成に関しては、「データ活用」「STEAM教育」「障害児発達支援」「日本語指導」「心理」「福祉」「社会教育」「語学力」「グローバル感覚」といった強みや専門性を身に付ける活動との両立のため、4年制大学において最短2年間で必要資格が得られる教職課程の開設を特例的に認め、適切な履修モデルを設定すべきと提言している。

 2022年度から小学校高学年で本格的に導入された教科担任制は、小学校と中学校の両方の免許状を有する教師を増やしていくことが望ましいとし、特例的な措置として、小学校の専科指導の優先実施教科とされた「外国語」「理科」「算数」「体育」に相当する中学校教員養成課程を開設する学科等においては、小学校教員養成を行うことを可能とすべきとしている。

 また、優れた人材を確保できる教員採用等のあり方として、教員採用選考試験の早期化・複線化を含めた多様な入職スケジュールに関し、国と任命権者が連携して検討を進めていくことが必要だと指摘。多様な専門性や背景をもつ人材を教師として取り入れるための方策等も盛り込んでいる。

 今後は、中間まとめについて関係団体等から幅広く意見を聞き、パブリック・コメントも実施したうえで、答申として取りまとめる予定。


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