反対が8割、保護者では9割に及ぶ
都立高校入試におけるESAT-J活用について「賛成」(賛成・どちらかといえば賛成、以下同様)は16%、「反対」(反対・どちらかといえば反対、以下同様)は84%だった。
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一方で、東京都在住かつ中学生の子供がいると回答した29名については「賛成」はわずか2名で、93%の保護者が「反対」と回答。回答者全体より「反対」の割合が9ポイント高い結果となった。
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賛成:授業や意識の変化には入試の変化が重要
「賛成」の理由としては、「中学校段階でもスピーキング力の向上が必要」「入試が変わらないと授業も変わらない傾向にあるので、入試でスピーキングテストは実施すべき」「受験が変わっていかないと、グローバルに通用する英語力が身に付くようになっていかない」と、スピーキング力の大切さと、授業や意識の変化には入試の変化が重要とするコメントが目立った。
反対:採点基準・導入経緯・不受験者への対応
一方で「反対」の理由としては、「採点基準が不明確」「導入の経緯が不透明」「教育現場を混乱させる」「採点内容が非公開のため学習にも生かせないし異議申し立ても出来ない」「不受験者の点を推算する方法は同等の能力をもつ受験生に対して不平等な扱いをもたらす可能性がある」「説明が不十分で詳細を把握できていない」等。採点内容が非公開であることや、不受験者の扱いへの不安のコメントが目立った。
また、不受験者のスコアは、英語学力検査で同程度の点数を獲得した他の受験者のスコアをもとに算出されることに対しては、「そもそも筆記試験の点からスピーキングの点を推定することに合理性があるならばスピーキングテストそのものが不要である」といった意見も見受けられた。特定の企業が実施している試験と類似していることから、同試験を導入している自治体の生徒が有利といったコメントもあった。
中学生の保護者は?
東京都在住で、中学生の子供のいる回答者のコメントを見ていこう。「反対」とした保護者は「1点を争う入試に4点刻みのグレード点(恣意的に100点から20点換算)が入り合否逆転があり得る。情報公開の外にやられて採点ミスがわからない。どのように公平でミスのない採点がされるのか不明、不受験者の扱いが不公平」「準2持ってるけど(中略)結構難しい。英検3級程度の難易度だそうで、つまりは中学校卒業程度なのだけど、それは単語と文法が中学校で習う範囲なだけで、20点満点を取れる人はそういないと思う。(中略)でも、導入されたからには、がんばるしかない」等としている。一方で「賛成」には「やってみないことには何の結果も出ないし、変化のきっかけが生まれないから」といった意見もあった。
ESAT-Jと都立高入試での扱い
ESAT-J(English Speaking Achievement Test for Junior High School Students)は、中学校における英語学習によって身に付けた「英語を話す力」を客観的に評価するため、2022年度から都内の公立中学3年生の全生徒を対象に実施されるもの。試験の実施・運営に実績のある事業者として選ばれたベネッセコーポレーションが、東京都教育委員会と共同で開発・実施する。
東京都は、2019年度よりESAT-Jのプレテストを実施してきた。今年度は2022年11月27日(予備日:12月18日)に都内公立中学校の3年生全員等を対象にESAT-Jを実施し、その結果を都立高校入試に活用。入試では、AからFの6段階で提出された評価を、A=20、B=16、C=12、D=8、E=4、F=0と、20点満点の点数として取り扱い、学力検査700点+調査書点300点に加算される予定だ。