文科省の発表では通常学級にいる子供の中で6.5%の子供が発達障害の可能性があるとされています。通常学級に2~3人いることとなります。そういった子供が学級で何らかの不都合が生じてしまう場合があります。そういったものの中で、今回は「音に敏感な子供」をテーマとしたいと思います。
障害者差別解消法とは
2016年4月に「障害者差別解消法」が施行されました。その法律によって、発達障害のある子供に対して学校(国公立学校)が合理的配慮をすることが義務付けられました。これは、今回テーマとしている「音に敏感である」ということだけでなく、さまざまな障害のある子供に対し、他の子供と同じように学ぶことができるようにする義務が学校にはあるというものです。
「合理的配慮」とは、2006年に国連において採択された「障害者の権利に関する条約」において「障害者が他の者との平等を基礎としてすべての人権および基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更および調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失したまたは過度の負担を課さないもの」と示されたものです。
少し噛み砕いて表現すると、障害のある人が他の人と平等に暮らすために、周囲の人や学校、会社等が無理のない範囲で支援やルールの変更、環境の調整を行っていくということになります。ただ、先ほども触れたように学校には合理的配慮をする義務があるのですが、それが十分にできている状況ではないようです。発達障害のある子供が十分な配慮を得られないことがきっかけとなり、不登校になってしまったという事例はあります。
学校の理解不足で合理的配慮がされないことも
今回の音に敏感な子供が室内でヘッドフォンをすることは合理的配慮に含まれるものです。しかし、そういった状況において、学校側がヘッドフォンの使用を許可しないということもあります。これは学校の理解不足であることが多いです。以前は、こういったケースを「子供のわがまま」と捉えることもありました。
2006年に国連において採択された「障害者の権利に関する条約」や2016年4月に日本で「障害者差別解消法」が施行されて以降、障害に関する環境が変わりつつあります。しかし、そういった社会的な変化に対して、学校は追い付いていない場合があることも事実です。先ほども例にあげた合理的配慮をわがままと捉えてしまうような事例です。
最優先で取り組むべき
学校は業務が非常に多く、研修等が十分にできていないという事情もあります。ただ、今回テーマとした合理的配慮は、学校での子供の学びや育ちにおいて、非常に重要であり、本質である内容です。本来は最優先で取り組むべき内容です。他のことによって本当に重要であることを後回しにしてしまうような状況は間違っているでしょう。今後、さらに障害等についての理解が進み、すべての子供が適切な環境で学び・育つことができるようになることを心から願います。
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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。