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【相談対応Q&A】子供の癇癪に配慮して

 今回は「癇癪(かんしゃく)」をテーマとし、癇癪を起こす子供の親からの問い合わせについて話題にしていきます。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第55回のテーマは「子供が癇癪を起しやすいので配慮してほしい」。

癇癪とは?


 今回は「癇癪(かんしゃく)」をテーマとします。こういった内容で学校に問い合わせがある際は、2つのパターンがあります。1つは、癇癪を起こす子供の周りにいる子供が迷惑に感じている(勉強に集中できない、怪我をさせられた等)ので何とかしてほしいという場合です。もう1つは、癇癪を起こす子供の親からの場合です。今回は、癇癪を起こす子供の親からの問い合わせについて話題にしていきます。

 「癇癪」については、小学館のデジタル大辞泉によると「ちょっとしたことにも感情を抑えきれないで激しく怒り出すこと。また、そういう性質やその怒り」となっています。どの程度なのかということにもよりますが、イライラして感情を抑えることが難しいということは子供でも大人でも一般的にあることです。そういった状況で周りに迷惑がかかる程度に何らかの行動をとってしまう場合が問題になってきます。

 「癇癪」と関連するものに、「発達障害」の「注意欠如多動性障害(ADHD)」があります。「発達障害」の子供は、全体の6.5%の割合で存在しているという報告が文科省から出されています。少なくない数の子供が学級の中で感情のコントロールに関して、苦労をしているという現状があります。

 癇癪を起こす子供の親から学校にこういったテーマで連絡が来る場合は、「クレーム」「苦情」というよりは「相談」という意味合いが大きいと思います。これが、周りの子供の親から場合は「クレーム」や「苦情」に関する意味合いが大きくなります。

 親からの相談において、「保健室等でクールダウンさせてほしい」ということを伝えられることがあります。これはとても妥当な内容です。コントロールができなくなったものを少し落ち着くまで場所を変えるというものです。場所に関しては、保健室に限らず、図書室や準備室、普通教室の角のスペース等です。1人で静かになることができる状況が望ましいです。

学校内での調整が必要


 そのようなスペースを設定する際に注意することがあります。このようなことは、自分のクラスのことだけではないので、関係する人への調整が必要になります。それなので、親からの相談の際には、自分一人では決められないこと、学校内での相談や調整が必要なことを伝えます。そのうえで、その状況においては、どういった形(どの場所)が望ましいのかを検討します。校舎の作り等、それぞれの学校の事情によっても変わってきます。また、コロナが流行っている状況においては、保健室をクールダウンの場所とするのは適切とは言えないのかもしれません。

 クールダウンの場所を決める際には、癇癪を起こす子供にも意見を聞いて決めていくことが望ましいです。クールダウンの場所として、大人は適切だと感じたとしても、本人が気に入らない場所の場合は、うまくいかないことがあります。可能な限り、本人の意見も聞きながら対応を決めていくと良いでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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