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正頭英和先生に聞く、デジタルペンシル「Crayon」の学校での活用

 GIGAスクール構想の実現でICT環境が整備され、その活用が求められる2021年度。ICTを工夫して利活用し、グローバルでも高く評価されている、立命館小学校の正頭英和先生に、ロジクールのデジタルペン「Crayon」の印象と活用のヒントを聞いた。

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正頭英和先生に聞く、デジタルペンシル「Crayon」の学校での活用
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 GIGAスクール構想の実現でICT環境が整備され、その活用が求められる2021年度。ICTを工夫して利活用し、グローバルでも高く評価されている、立命館小学校の正頭英和先生に、ロジクールのデジタルペン「Crayon」の印象と活用のヒントを聞いた。

 立命館小学校の英語科教諭・ICT教育部長の正頭英和先生は、教育界のノーベル賞と言われる「Global Teacher Prize 2019(グローバル・ティーチャー賞)」のトップ10に選ばれた。小学校教員として日本初の快挙で、この賞の認知が国内で拡がるきっかけともなった。

教育現場にICTを導入する3つの目的



--学校におけるICT活用の経験について教えてください。

 もともと立命館中学校高等学校で教壇に立っていましたが、2011年に立命館小学校に異動しました。その時点では、立命館中学校高等学校よりも立命館小学校のほうが、ICT環境が整備されていました。

 立命館小学校では、2014年からは高学年で個人の所有物としてパソコンを1人1台購入し、自宅に持ち帰ることとしました。児童が自宅にパソコンを持ち帰ることで、反転学習ができるようになったのです。これまで英語学習では、家庭学習として「読み」「書き」はできましたが、「聞く」「話す」はできませんでした。自宅に持ち帰ったパソコンで音声を聞く、発音を録音して提出するといった、音声のやり取りができるようになり、私自身の授業が変わり始めました。

 立命館小学校では、2020年度より全学年に1人1台のパソコン・タブレットが完備されました。1~2年生は学校レンタルのアップルiPad、3~6年生は個人所有のマイクロソフトSurface Goを使っています。すべて自宅持ち帰り可能です。

 教育現場にICTを導入する目的は3つあると考えています。1つ目は「学びの効率化」、2つ目は「学びの転換」、3つ目は「ICTリテラシーの向上」ことです。「学びの効率化」は、たとえば、デジタルペンで入力すれば、情報整理の時間が省けます。「学びの転換」は、暗記の学習が少なくなり、浮いた時間で新しい学びのカタチが求められていることを意味しています。

オンライン取材に応える正頭英和先生
オンライン取材に応える正頭英和先生

マインクラフトで実現する教科横断型の学び



 2016年にマインクラフトの教育版が日本で初めてリリースされ、トライアル校として立命館小学校での授業で使ってみました。マインクラフトで世界遺産を製作することになり、社会科の先生に協力してもらって、授業で歴史的背景を教わりました。また、学校から30分圏内で行くことのできる世界遺産が10か所程度あるので、実際に足を運び、写真を撮ったり、管理人に話を聞いたりしました。1年ほどかけて取り組み、最後には、マインクラフトで製作した世界遺産を海外の学校に通う子どもたちに紹介しました。ICTを活用した授業を通して、英語や社会、日本文化やプログラミングと、教科横断型の学びが実現できたのです。

 これらの取組みが評価されて、「Global Teacher Prize 2019(グローバル・ティーチャー賞)」のトップ10に選ばれました。

使い心地がよく多機能なデジタルペン「Crayon」



--ロジクールのデジタルペンシル「Crayon(クレヨン)」を利用された印象をお聞かせください。

 使いやすいデジタルペンだと思います。使い心地がよく多機能で、さまざまな場面で使えそうです。Crayonはキャップがなく、取り外して使う部品がないので、キャップを失くす心配がないのがいいですね。また、平たい形状なので机から転がり落ちる心配がなさそうです。こうしたことは、しばらく授業で使っていると気付くメリットだと思います。実は、立命館小学校の1、2年生はiPadとApple Pencilを使っているのですが、書き心地はApple Pencilと変わりませんでした。

 小学生の特に低学年は鉛筆を使う習慣がありますが、Crayonはそうした子どもたちの手にもなじむ形状だと思います。鉛筆を寝かせて書く癖のある子などは、線が太くなってしまったりすることがときどきありますが、鉛筆を正しく持つことができるようになれば、デジタルペンでも問題なく使えます。

ロジクールのデジタルペンシル「Crayon」
ロジクールのデジタルペンシル「Crayon」

ロジクールのデジタルペンシル「Crayon」
ロジクールのデジタルペンシル「Crayon」

高学年では過半数がノートにもデジタルペンを利用



 「ICTを文房具のように」というのが、立命館小学校が2014年から掲げている言葉です。子どもたちは文房具を使うタイミングを、基本的には自分で決めています。それと同じようにICTを使うタイミング、もっと言うと「使うかどうかの判断」も極力子ども達が決めればいいのではないかと考えています。

 たとえば「ノートの取り方」です。ノートの取り方は大きく3つあり、「紙と鉛筆」のほかに、デジタル端末に「デジタルペン」「タイピング」で入力する方法があります。私の授業では、「デジタルペンでノートの取り方(本校はOneNoteを使っています)」や「タイピングの技術」を教えたあと、ノートの取り方を自由選択にしています。最初はほとんどの児童が「紙と鉛筆」を選びますが、学年が上がるにつれて、「デジタルペン」の割合が増え、卒業前には、「デジタルペン」がもっとも多く、次に「紙と鉛筆」「タイピング」という順番になっています。子ども達はデジタルのメリットを受け取る能力がとても高いなぁといつも感心しますし、こちらが良い意味で驚くような使い方をしていることも多々あります。

 デジタルペンをいちばん使うのはお絵描きなので、図工の授業に活用できると思います。また、決められていないものを書くときにデジタルペンがとても有効だと感じています。先生が黒板に書いた内容など、決められたことはタイピングでも写真でも記録することができます。しかし、子どもたちのその場の臨機応変な意見が出たときは、タイピングや写真で記録しにくく、デジタルペンの有用性があります。書いたものを移動できるので、アイデア出しや、合意形成などで、付箋のような使い方ができますし、デジタルなので保存や共有もできるよさもありますね。

ICT活用の最初のステップは「とにかく使い続けること」



--2021年度はこれまでICTを使ってこなかった学校でも、ICTの活用が求められる年になると思います。これから活用を始める先生方へのメッセージをお願いします。

 活用を推進していくうえで重要な最初のステップは「使用制限を過剰にし過ぎないこと」と「お互いにICT活用の実践を批判しないこと」だと思います。NGワードは「それは紙と鉛筆でもできるよ」です。最初は紙と鉛筆でできることしか思いつきません。ICTを使った授業は、その日その瞬間の授業だけを見ると、とても非効率的です。たとえば、「ログインだけで30分かかってしまった」など、やりたいことが全然進まない日はたくさんあります。立命館小学校でももちろんありますし、私個人でも数多く経験しています。その授業だけ切り取ってみると、紙と鉛筆のほうが効率的です。しかし、1年間、3年間、6年間と長いスパンで見ると、絶対にデジタルのほうが効率が良いです。

 したがって、ICT活用で重要なのは、その瞬間そのシーンだけを切り取って「ICTが良い・悪い」と判断するのではなく、とにかく使い続けること。誰の批判を受けることもなく、ICT活用の実践をお互いに承認し合い、実践を報告し合う交流を通じて、ノウハウを増やすことが重要だと思います。

 実践の共有でポイントとなるのは、成功事例ではなく、失敗事例を共有することです。「こういうことをしたら、うまくいかなかった」「こういうことをしたら、こんなトラブルになる」といった失敗事例です。成功事例は要素が多すぎて、「こうやったら、うまくいった」という事例と同じことをしても、うまくいかないことは数多くあります。失敗事例は普遍的なところが多いので、ICT活用の次のステップでは、「失敗事例を共有すること」が重要だと考えています。

 ぜひチャレンジして、もし失敗したら「これで情報を共有できる」と前向きに、失敗事例を共有できると良いですね。私がICT教育部長を務めている立命館小学校でも、失敗事例を積極的に共有しています。

 日本はGIGAスクール構想で教育のICT化を頑張らないと、世界からどんどん取り残されてしまうという危機感をもっています。これを機に教育ICTの底上げができればよいと思っています。

--ありがとうございました。

Crayon 製品ページ

Crayonはこう使う



 学校でのICT活用というと、ハードルが高く感じてしまいがちだが、「とにかく使い続けること」「失敗しても前向きに」という正頭先生の言葉に、勇気づけられる教職員の方々も多いだろう。まずは、デジタルペンでノート取ることを試してみてはいかがだろうか。
《工藤めぐみ》

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