東京大学は2020年10月8日、ソーシャルボンド「東京大学FSI債」の発行条件が決定したと発表した。ソーシャルボンドおよび大学債の発行は、国立大学法人で初めて。200億円を調達し、東京大学が進める未来社会協創(FSI:Future Society Initiative)活動を加速させる。 ソーシャルボンドとは、社会的課題に取り組むプロジェクトの資金を調達するために発行される債券のこと。東京大学は9月、今回の債券発行のための枠組みであるソーシャルボンド・フレームワークが、ICMA(国際資本市場協会)が定義するソーシャルボンド原則2020に適合するとして、日本格付研究所(JCR)から最上位評価となるSocial1(F)を取得している。 債券は「東京大学FSI債」と名付け、ソーシャルボンドとして発行する。ソーシャルボンドや大学債の発行は、国立大学法人では初めてとなる。今回は第1回東京大学債券と位置付けている。 発行額は200億円。10月8日現在、日本生命、第一生命、ソニー生命、かんぽ生命、大和証券、学校法人上智学院、学校法人日本女子大学、飛騨市など、45の企業や法人、自治体などが投資を表明している。利率は0.823%。10月16日に発行(払込)し、償還期間は40年。 東京大学によると、東京大学FSI債はSDGsとの親和性が特徴。債券によって調達した資金は、社会変革を駆動する力を高める東京大学FSI事業に充当される。「ポストコロナ時代の新しいグローバル戦略を踏まえた研究の推進」「安全、スマート、インクルーシブなキャンパスの実現」を通じて、より良い未来社会の創造のために活用していくとしている。 東京大学の五神真総長は、大学債の発行にあたりメッセージを発表。「今まさに社会や経済が大きく変化する時代にあって、新しい知を生み出し、それを担う人材を育てる、大学の役割を拡大して強化することが求められています。それにしっかり応えるためには、長い時間軸と広い視野をもって未来への投資を行うことが不可欠です。そのためには、自由度の高いまとまった資金を確保することが不可欠です」などと述べている。