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ICU「オンライン授業アンケート」感染症の不安軽減、眼精疲労や腰痛も

 国際基督教大学(ICU)は2020年8月15日、オンライン授業に関するアンケート結果を公表した。回答では、「感染症の不安が軽減されるのでよい」といった肯定意見がある一方、「板書がないので内容がわかりにくい」といったデメリット面も浮き彫りになった。

事例 ICT活用
 国際基督教大学(ICU)は2020年8月15日、オンライン授業に関するアンケート結果を公表した。回答では、「感染症の不安が軽減されるのでよい」といった肯定意見がある一方、「板書がないので内容がわかりにくい」といったデメリット面も浮き彫りになった。

 国際基督教大学は、新型コロナウイルス感染防止のために、春学期(4月~6月)の授業は、Zoomなどのアプリケーションを使った同時双方向型や、事前に収録した映像を学生が好きな時間に受講するオンデマンド型の両方を駆使しながら、授業を展開した。オンライン授業に関するアンケート調査は、5月22日~31日に全学部生・大学院生を対象に実施し、回答者数は1229名(38.5%)。

 オンライン授業のよい点では、「通学する必要はないので楽である」がもっとも多く、ついで「感染症の不安が軽減されるのでよい」「オンデマンドの授業は自分のスケジュールにあわせて視聴できるのでよい」「オンデマンドの授業は繰り返し視聴できるのでよい」「身なりにあまり気を遣わなくてよいので楽である」が続いた。

 中には、「ある授業で遺跡からの中継があった。150人程の登録者がいるので対面授業では実現できなかったと思う。とてもよい学びになった」「意見交換の手段が複数(ライブディスカッション、チャット、Moodleなど)用意されていたので、口頭での発言が苦手な人も自分にあったツールで意見を述べていたように思う」といった、同時双方向型のオンライン授業に関する肯定的なコメントがあった。

 オンライン授業の悪い点では、「長時間PC、タブレット、スマホ画面を見るので疲れる」がもっとも多かった。ついで「モチベーションの維持が難しい」「クラスメートとのディスカッションがやりにくい」「クラスメートとの交流が少ないのでつまらない」「教科書や資料の入手が難しい(図書館が利用できない)」など。

 「板書がないので内容がわかりにくい」「教員・学生間とコミュニケーションが取りにくい」といった声や、眼精疲労や腰痛など長時間画面に向かうことによる体の不調を訴える声があった。また、プレゼンテーションのしやすさについてはオンラインと対面の差は大きくなかったが、 ディスカッションはオンラインよりも対面の方がやりやすいという声が多くあった。

 オンライン授業での技術的なトラブルでは、「通信障害などで音声、画像が中断した」「Zoomアプリの操作に時間がかかった」「ログインできないなどアカウントのトラブルがあった」などを経験した。そのほか、新たにパソコンやヘッドセットマイク、タブレット端末の調達やインターネット回線の無制限プランへの変更、ポケットWi-Fiなどの購入・レンタルも行っていたことがわかった。

 9月から始まる秋学期は、授業ごとに「オンライン」もしくは「オンラインと対面のハイブリッド」のどちらかで開講予定。今回のアンケートで集まった学生からの声をもとに、これまで通りの対話を重視したよりICUらしい学びを提供できるよう努めていくという。
《田中志実》

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