明治図書出版より『1冊整理 学習指導要領 改訂への見取り図』が2026年9月4日に刊行された。
本書は、学習指導要領改訂の核となる主要なキーワードや全教科・領域等の課題、動向を網羅し、中央教育審議会の部会・ワーキンググループ(WG)委員等が「どうなる?」までわかりやすく解説している。また、関連する検討資料に即アクセスできるQRコードが付されており、読者の理解を深めやすい仕掛けが施されているのが特徴だ。
リシードでは明治図書出版の協力のもと、『1冊整理 学習指導要領 改訂への見取り図』の一部を紹介する。書籍冒頭の文部科学省初等中等教育局 主任視学官の田村 学氏へのインタビューを紹介したのち、「改訂への見取り図[全体編]」から、インタビューのキーワードに関連する部分を掲出する。第3弾の今回は「柔軟な教育課程編成」について。
本書の特徴のひとつでもあるQRコードも付すので、「理解の深めやすさ」をぜひ体感してほしい。
Interview 次期学習指導要領で目指すこと

教育課程の柔軟化
◆教育課程の柔軟化
「資質・能力の構造化」に加えて、もう1つの大きな柱となっているのが、各学校における教育課程の柔軟化です。義務教育段階では授業時数の調整の仕組みが、高等学校では単位制の柔軟化が、より図られるということです。
これまでの日本の学校・教育の強みは、共通性や基準がしっかりしているところにあったと思います。北海道から沖縄まで、どの学校でも、小学校2年生になればかけ算の学習が行われますし、教科書もあり、先生方によって丁寧な指導がなされてきました。だからこそ、子供たちの学力が保障されてきたわけです。それは捨て去るべきものではなく、大前提として残すべきものです。
しかしそのうえで、各学校の個性・独自性を発揮できるようにする必要があります。たとえば、地域性という観点があります。日本には、自然豊かな地域もあれば都会もあり、海が近い地域もあります。そうした地域の特性を存分に発揮した教育課程があって良いでしょう。
そしてもう1つ、より重要なのが、子供の状況が多様になっているという現実です。こうしたことを踏まえて、画一的な教育課程というよりも、その学校の子供たちにふさわしいカリキュラムの編成を、それぞれの学校で行っていく必要があります。
このことについて、校長会などでお話を伺うと、「こんな学校がつくれる」と魅力的に感じる方もいれば、「ちょっと心配だ」とおっしゃる方もいます。日本の学校はこれまで、基準がしっかりしていて、教科書が供給されていたために、それに沿っていれば一定の結果が出るという仕組みになっていました。それは非常に良い仕組みではありましたが、各学校が自主的に教育課程を編成して、オリジナルなものを推進するという点では、弱みになっていた可能性もあります。

元をたどれば、「生活科」という教科が生まれ、「総合的な学習の時間」という各学校で目標・内容を定める時間が生まれ、そして「カリキュラム・マネジメント」という考え方が前回の改訂に加わりました。今回は、その「カリキュラム・マネジメント」がいよいよ本丸に突入するということです。
教育課程の最大の要素は「時間」と「内容」ですが、今回は内容を動かすことが可能になり、時間についても大きく工夫できるようにしようとしています。これまで取り組んできたカリキュラム・マネジメントが、いよいよ本格的に動き出していくということになります。
▼総則・評価特別部会(第5回)資料より抜粋/2026年1月19日


柔軟な教育課程編成
執筆者:秋田 喜代美先生(学習院大学教授・東京大学名誉教授)
柔軟な教育課程の調整授業時数の対象となる要件
柔軟な教育課程編成では、各学校が児童生徒の実態や学校・地域の特色を踏まえ、教科等の標準授業時数を下回って設定することが可能になります。
ただし、すべての教科等の時数を自由に調整できるわけではありません。標準授業時数が年間35コマ以下の教科等は、標準を下回って時数を設定できる教科等の対象外です。一方、「総合的な学習の時間」は調整の対象となりますが、調整後の時数を年間35コマ以上とすることが要件となっています。
また、標準を下回って設定できる時数幅の上限は、対象となる教科等の標準授業時数の最大15%程度とされています。週当たりでは4コマ程度、小学校では年間最大138コマ程度が想定されています。

各教科等から生み出した調整授業時数は、児童生徒の実態に応じた学習活動や、学校における教育の質の向上に資する活動にあてることができます。
▼総則・評価特別部会(第11回)資料/総則・評価特別部会取りまとめ(案)/2026年7月22日















