東京都教育委員会は、既存のユース・プラザ事業を抜本的に見直し、新たな子供・若者体験活動施設を構築する計画を進めている。これは、社会環境の変化や施設の老朽化に対応し、子供・若者の自立と社会性の発達を支援するためのものである。
ユース・プラザ事業は、2004年に開館した区部ユース・プラザと2005年に開館した多摩地域ユース・プラザの2か所で構成されている。これらの施設は、青少年の自立支援や生涯学習の振興を目的としており、文化・スポーツ活動を通じた交流や体験の場を提供してきた。しかし、区部ユース・プラザの老朽化や、東京2020大会を契機とした周辺施設の増加など、施設環境に変化が生じている。
さらに、障害者や日本語を母語としない子供・若者の増加、不登校児童・生徒の増加など、子供・若者を取り巻く状況が多様化・複雑化している。こうした背景を受け、東京都はユース・プラザ事業を再構築し、未来を切り拓く「人」を育むための新たな事業として再編成することを決定した。事業構想の策定にあたり、「(仮称)子供・若者体験活動施設事業構想(案)」を公表して都民から意見を募集し、参考にしたという。
新たな施設は、子供・若者の自立や社会性の発達を支援するための多様な活動を行う場として設計される予定である。具体的には、生活・自然体験、ボランティア活動などのプログラムを提供し、青少年の主体的な活動や交流を促進する。また、区市町村や青少年関係機関・団体を支援するセンターとしての役割も担う。
施設の運営には、PFI(Private Finance Initiative)の手法を導入し、低廉かつ良質な公共サービスの提供を目指す。これにより、行政と民間の新たな協力関係を形成し、経済の活性化を図ることが期待されている。
東京都教育委員会は、2023年度から2024年度にかけて設置した「区部ユース・プラザ基本構想検討委員会」において、外部有識者からの意見を取り入れながら、事業全体の整理・検討を進めてきた。今後も関係局と連携し、子供・若者のための新たな体験活動施設の具体的な計画を策定していく方針だという。