2024年12月13日、文部科学省で行われた記者会見において、あべ文部科学大臣はOECDが発表した国際成人力調査の結果について言及した。同調査で日本は世界トップ水準を維持したものの、上位と下位の差が拡大し、数的思考力における男女差が大きいという課題が浮き彫りになった。
国際成人力調査は、成人に求められる基盤的なスキルを評価するもので、OECD加盟国を中心に実施されている。今回の調査結果は、日本の義務教育をはじめとする教育の成果が大きく寄与しているとされる一方で、男女間の数的思考力の差や、上位と下位の差が拡大していることが指摘された。これに対し、あべ大臣は「世界トップレベルの成人力を維持向上するため、生涯学びや社会人の学び直し、女子生徒の理工系分野への興味関心を高める取組みを推進していく」と述べた。
さらに、同会見では自民、公明、維新の3党が教育無償化に関する議論を進めるための教育チームを立ち上げたことについても触れられた。あべ大臣は「希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう、幼児から高等教育段階までの負担軽減に取り組む」との意向を示した。
また、日本の成人力が高い一方で、生活満足度が低いという調査結果についても質問が寄せられた。これに対し、あべ大臣は「生活満足度が低くなる要因は、極端な回答を避ける東アジアの文化的な反応が影響している可能性がある」とし、生活満足度には家計資産や雇用環境、賃金、住宅、健康状態など多様な観点が関係していると説明した。政府全体でウェルビーングの向上に向けた総合的な取組みを推進する必要があると述べた。
文部科学省は、日本社会に根ざしたウェルビーングの向上を掲げ、第4次教育振興基本計画に基づいた取組みを進めていく方針を示している。今回の調査結果を受け、教育政策のさらなる充実が求められる中、今後の動向に注目が集まる。