デロイトトーマツグループのトーマツは2023年4月26日、ヤングケアラー支援を促進するためのアセスメントツールやガイドブック等を公開。日本全国の市区町村等での活用を想定し、子供との信頼関係を重視しながら効率的に進めるポイントを提示した。
ヤングケアラーに関しては、これまでの全国的な調査において、世話をしている家族が「いる」との回答が、2020年度(令和2年度)の中学2年生で5.7%、高校2年生4.1%、2021年度(令和3年度)では、小学6年生6.5%、大学3年生6.2%という実態が示されており、支援の充実が急務となっている。
そこでトーマツは2022年、厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」より研究助成金を受け、ヤングケアラーへの支援に向け、国内初となる多機関・多職種連携によるマニュアルを公開。今回新たに、支援が必要かもしれない子供を早期に把握する方法等をまとめた「気づきツール」「アセスメントツール」等のガイドブックと、子供に近い立場で実際に支援等に携わる部門向けの「運用の手引き」を作成した。
ガイドブックでは、子供の状況に早めに気付けるようにするための「気づきツール(子供向けと大人向けの2種類)」と、気付いた後に、子供との信頼関係を築くための会話の視点を示す「アセスメントツール」の各種ツールの使い方を解説。ツールの活用によって、「子供の話を、子供を主役として聞いてくれる大人がいる」環境を作ることを目指しているという。
「運用の手引き」では、市区町村の児童福祉部門や学校等の教育分野に焦点をあて、支援の流れを効率よく運用していくための仕組みや、その運用方法のポイントを例示。先行している市区町村へのヒアリング等をもとにした各地の事例や、家庭が支援を拒否したり、対象者が中途退学したりして対応が困難なケースへの留意点や、対応の工夫等も紹介している。
デロイトトーマツグループは、策定したヤングケアラーの支援充実に向けた各種ガイドブック等をもとに、ケアを担う子供達を地域で支える体制整備を促進することで、子供たちの未来を応援し、誰1人取り残さない社会の構築へ貢献していくとしている。