静岡大学とカスペルスキーは2021年6月16日、おもに高校生を対象としたセキュリティ啓発教材「ネットの『リスク』を見きわめよう(高校生編)」の無償ダウンロード提供を開始した。Webサイトからダウンロードし、授業等で利用できる。 内閣府が実施した2020年度(令和2年度)の青少年インターネット利用環境実態調査結果によると、インターネットを利用している高校生のうち、95.2%が接続機器にスマートフォンを利用していると回答。このうち、99.1%が自分専用のスマートフォンを使っていると回答している。 また、2022年から成人年齢が18歳に引き下げられ、高校生でも親の同意がなくても携帯電話やクレジットカード、ローン等の契約行為を行うことができるようになる。特にインターネット上での契約行為やクレジットカードの利用にはさまざまな脅威が潜んでおり、ネットショッピングやキャッシュレス決済に潜む危険性を判断する力を身に付ける必要がある。 「ネットの『リスク』を見きわめよう(高校生編)」は、カスペルスキーと静岡大学塩田真吾研究室が共同で開発したセキュリティ啓発教材。キャッシュレス決済や課金、ネットショッピング等の注意点について、具体的な状況の中でカードを使って考えながら学ぶことを目的としている。 学校の1コマの授業で実施できるように生徒用のカード教材や教員用の指導案、説明スライド等の教材一式を用意。生徒が使う各カードの表面には、ネットショッピングやキャッシュレス決済時等に身近で起こり得る状況を記載し、裏面にはその具体的なスマートフォンの画面を提示している。 生徒はその画面内容が怪しいか怪しくないかを判断し、グループでディスカッションする。教員は説明スライドに沿って、カードごとに具体的に記載された気を付けるべきポイントを説明しながら答え合わせをする。ワークシートには個人情報が漏えいした事例をもとにその原因を考えさせる項目があり、生徒はリスクを見極める判断力を身に付けることができる。さらに、目で見て判断できる怪しさには限界があり、目に見えない怪しさに対してはセキュリティ対策ソフトを利用する重要性も学べるようになっている。 カスペルスキーと静岡大学ではこれまでも、Webサイトやアプリに潜む危険性を判断する力を付けるための「ネットの『あやしい』を見きわめよう(中高生編)」、シニア層がインターネット利用に関する判断力を付ける「ネットの『あやしい』を見きわめよう(シニア編)」を共同で開発し、好評を得ている。 高校生編の開発にあたった塩田真吾准教授は「ネットショッピングやキャッシュレス決済が身近なものになり、高校生の2人に1人がキャッシュレス決済を利用しているという報告もある。しかし、こうした『便利さ』の陰には、使い過ぎや情報漏えい、金銭詐欺等の問題も存在する。特に、2022年からは『18歳成人』が誕生し、親の同意なしにクレジットカードを持つことができるようになり、こうした問題はより身近なものになる」とコメント。教材で早いうちからネットショッピングやキャッシュレス決済のリスクを見極めるスキルを身に付けてほしいと呼びかけている。 対象はおもに高校生を想定しているが、中学生も利用可能。時間は約50分で、1コマの授業で実施できる。カスペルスキーのWebサイトから無償でダウンロードできる。◆セキュリティ啓発教材「ネットの『リスク』を見きわめよう」対象:おもに高校生(中学生も利用可)実施時間:約50分(授業1コマで実施)料金:無償入手方法:カスペルスキーのWebサイトからダウンロード内容:【教員用】教材を利用した授業指導案、説明スライド【生徒用】カード(1組5枚、ネットショッピング編とキャッシュレス決済編の2セット)、ワークシート、カード台紙