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【相談対応Q&A】新しいクラスに馴染めない

 新しいクラスが始まり、しばらく経ちました。子供たちがクラスに上手に適応できていれば良いですが、すべての子供がうまくいく訳ではありません。そういったことに関して、親から連絡があることがあるのがこの時期です。

事例 その他
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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第31回は「子供が新しいクラスに馴染めず、学校へ行くのを嫌がっている」。

できるだけ早く対応する


 新しいクラスが始まり、しばらく経ちました。子供たちがクラスに上手に適応できていれば良いですが、すべての子供がうまくいく訳ではありません。そういったことに関して、親から連絡があることがあるのがこの時期です。

 「新しいクラスに馴染めない」という連絡を親がしてきた場合、担任としてはできるだけ早く対応することが望まれます。「友達がいない」「前の先生が良かった」「やり方がわからない」など、新しいクラスになった時は、子供が不安に感じるポイントがたくさんあります。

 担任との関係もまだ日が浅く、何でも気軽に話をすることができるような状況でない場合も多いです。子供が不安に感じたことがあったとしても、それをすぐに担任に伝えることが難しい子供がいる可能性が高いのが4月という時期です。

 親が担任に対して何かを伝えたいと思った時、いきなり「クレーム」などの激しい方法で伝えてくることは少ないです。そういったことの前の段階として、「質問」や「相談」があります。その段階で解決ができないと、「クレーム」や「苦情」といった形の対応を親が取ることとなります。今回のテーマである「クラスに馴染めない」ということだけでなく、それ以外のことも含めて、できるだけ親からの「質問」や「相談」の段階で解決をしていきたいです。

4月はまだ教師との信頼関係ができていない


 4月のこの時期は、「教師と子供」、「教師と親」が互いに信頼関係ができていないことが多いです。そういったこともあり、「クレーム」の前段階にある「質問」や「相談」も気軽にしにくくなります。親から相談があった場合や子供の姿を見ていて少しでも不安に感じることがあった場合、すぐに対応することが大切になります。

年度始めのトラブルはチャンス


 ところで、年度始めの時期のトラブルは担任にとってチャンスでもあると私は考えています。そのタイミングでトラブルにきちんと対処し、解決することで、親や子供と信頼関係を築くことができます。私は、以前、始業式の日にクラスの子供に大事な連絡をすることを忘れたことがあります。その日の午後、それぞれの家に電話で連絡をしました。お詫びと共に連絡内容を伝え、「何か心配事があれば教えてほしい」という話をしました。少し時間は掛かったのですが、親と色々な話をしたことで、非常にスムーズに新しいクラスをスタートすることができました。

コロナ禍で相互理解のハードルが高くなっている


 新型コロナウイルスの流行以来、授業参観、懇談会などの実施が見合わされている学校が多いです。通常、4月に行われる授業参観・懇談会では、担任と親が互いを理解し合う良いチャンスです。コロナ対応で、そういった行事が実施されないことで、相互理解のハードルが以前よりも高くなっています。Zoomなどを用いた懇談会も実施されています。Zoomなどは便利なのですが、やはり対面での懇談会と同じようにはできない部分もあります。例年以上に親との関わりを丁寧にしていくことが必要でしょう。具体的にはこれまで以上に連絡などを密にしていくことです。学級通信を出す頻度を多くすることなども良いでしょう。

 また、何か疑問点があれば、簡単に連絡ができる方法や時間帯を伝えていくことなども良いでしょう。私は親が担任に質問をしやすいように、学級通信の下部の1/4を親からの質問用紙とし、切り取ることができるようにしていたことがあります。定期的にそういったものが配られることで、親が教師に質問をしやすくなります。そういったことが結果として子供のトラブルを未然に防ぐことにつながります。

【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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