教育業界ニュース

【v教育ICT Expo】「GIGAスクール構想の実現」に47の質問…基調講演Q&Aまとめ

 2020年5月21日に開催したオンラインライブイベントより、文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長 髙谷浩樹氏による基調講演「GIGAスクール構想の実現」で寄せられた質問のなかから、講演終了後にいただいた回答を紹介する。

教育行政 文部科学省
【v教育ICT Expo】「GIGAスクール構想の実現」に47の質問…基調講演Q&Aまとめ
  • 【v教育ICT Expo】「GIGAスクール構想の実現」に47の質問…基調講演Q&Aまとめ
 withコロナ/afterコロナにおいて、子どもたちの学びを止めないための利活用に期待が高まる教育ICT。「バーチャル教育ICT Expo」では、子どもたちを、そして教育現場を支援する選りすぐりのサービス、プロダクトを紹介していくとともに、教育ICTの専門家による映像セミナーを実施している。

 ここでは、2020年5月21日に開催したオンラインライブイベントより、文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長 髙谷浩樹氏による基調講演「GIGAスクール構想の実現」に寄せられた質問に対して、講演終了後にいただいた回答を紹介する。

 >>基調講演「GIGAスクール構想の実現」の録画映像(約1時間)はこちら

基調講演「GIGAスクール構想の実現」Q&A



Q1


 情報活用能力の育成について質問です。小学校では教科「情報」はありません。情報活用能力の育成が資質・能力となっても、各教科のなかで育成するのは難しいのでは。特に、キーボード入力などは、どの教科でやるのか、押し付け合いになりかねないと思います。情報活用能力を育成するための教材やカリキュラムがないなかで、現場の先生方に教えられるとは思えません。文科省として、小学校の情報の教科化、もしくは教材やカリキュラムの提供や提案といった施策を現時点で考えていらっしゃるのでしょうか。
→A.難しく考えるのではなく、ICTは必須の文房具として使ってみてください。詳しくはホームページにも掲載している「教育の情報化の手引き」をご覧ください。

Q2


 自治体や学校現場からは、ICTの導入についてどのような障害があるという声があるのでしょうか。
→A.必要性の理解に差があるため、予算の確保が進まないといった声があります。

Q3


 道具立ても重要ですが、さらに重要なコンテンツの充実、活用できる学校側の体制は?
→A.すでにさまざま着手されていますが、今後も進めていきます。

Q4


 教育の公平性から「一斉に」「足並みを揃えて」という意識あるために、ICTを活用した教育に踏み出せないとい問題があるとよく聞くのですが、その意識はどのように変えていけばよいのでしょうか?
→A.ひとつの解はありません。保護者から社会からさまざまです。

Q5


 ICT支援員の確保が難しい。
→A.マッチングも進めていきます。

Q6


 教職課程や教員研修でICTを活用をした授業に関する講義や研修はどれほど浸透しているのでしょうか? 私の大学の教職課程では、ICTを活用した授業に関する講義はほとんどないように思われます。
→A.これから進めざるを得ない状況かと思っています。

Q7


 デジタル教科書について現在、市場には限られたOSに対応したものが多く、そのせいでプラットフォームが限られてしまうのですが、そのような者への対応策はどのようになりますか?
→A.今後はブラウザベースに移行されると考えています。

Q8


 電子黒板整備以降、文科省の調査統計では、Active Use率を調査してきませんでしたが、今年度の調査から、Useの詳細を詰めた上でのAU率を測らないと、電子黒板同様に死蔵されてしまいませんか? その辺りの文科省のお考えを伺いたいです。
→A.さらに調査を進めていきます。

Q9


 子どもは課外で、民間教育など自由にネットを使っていますが、学校内では使い方は統制されますし、文科省の考える「遠隔教育」の今のあり方は、子どもの日常利用の実態と乖離し、自主性や主体性は養われるのでしょうか?
→A.教え方の問題です。

Q10


 環境やモノの整備はおおいにやるべきと思いますが、そもそものカリキュラム(学習指導要領など)で、すべての教科でICTを使うこと(黒板ではなくスライドや動画を使うなど)や、校務におけるICT環境を整備し、各先生が必ずICTを利用するような状況を作り出さないと変わらないのではと思うのですが、そのあたりの対応状況はいかがでしょうか。3人の娘がいますが、学校のようす(授業や先生との連絡手段など)を見ると自分が子どものころ(20年以上前)と中身は変わっておらず驚いています。
→A.環境整備も使わざるを得ない状況とするひとつの手段として、進めていきます。

Q11


 コロナ休業が明けると、これまでの授業の補填に追われ、ICT推進の加速度が落ちていくのではと危惧しています。ご認識をお伺いしてもよろしいでしょうか?
→A.落ちないように進めていきます。応援ください。

Q12


 教師のデジタルアップスキリングについては、どのようにお考えでしょうか? 各学校では、統一された方針がなく、各教師に裁量が与えられているときいたことがあります。
→A.最後は教師の経験ですが、文科省の「教育の情報化の手引き」など参照ください。

Q13


 GIGAスクールでできるところからどんどん実施していくという方針について、保護者にわかりやすく説明するA41枚程度のチラシを文部科学省で作っていただけるようなご予定はありますか?
→A.これからも広報に努めます。

Q14


 ICT環境整備は、1人1台の端末整備と通信環境整備だけではなくクラウド環境等構築も重要となってくるかと存じます(学習履歴の活用等の観点から)。クラウドバイデフォルトの政府方針の中で、クラウド環境等の構築に向けた方針・タイムラインについてはどのようにお考えでしょうか。
→A.クラウド整備も一体で進めてもらいたいと考えています。

Q15


 遠隔授業が授業時数にカウントできますか。また個別最適化が進むことで標準時数は今後どのような扱いになっていくと推測されますか?
→A.まさに検討が始まっています。

Q16


 臨時休校・分散登校、個別最適な教材活用おいて、公共の教材以外にも織り交ぜて多様なコンテンツを使っていけたら子ども達の学びの選択肢も広がるとは思います。今後教材や授業設計について、デジタル活用前提での作り方・共有の仕方を学校・教員にインプットしていく予定などはありますか?
→A.すでにさまざま着手されていますが、今後も進めていきます。

Q17


 以前高校でICT支援員をやっていましたが、先生方のスキルやチャレンジ精神がなさすぎて、諦めました。今後どのように、すべての先生方にスキルややる気を促していくのですか?
→A.実感がなかったのでしょう。物を入れ、環境を整備し、社会がそちらに向かう事がわかれば変わると思います。

Q18


 GIGAスクール構想対応の端末の下限の画面サイズである10インチではテキストを表示しながら、記録(タイピング)などは厳しいと考えますが、そのようにお考えですか?
→A.コストとの兼ね合いで自由に決めていただければと思います。

Q19


 今回、モバイルルータ、USBドングル、SIMについて補正予算がついておりますが、テレワーク需要などにより、モバイルルータ等が枯渇しております。こちらは通信事業者から直接購入できない場合、ベンダー等から購入しても補助金の対象になりますでしょうか。11日の説明資料に「通信事業者」と記載がありましたので、ご教授頂きたく存じます。
→A.対象になります。

Q20


 日本は、EUやシンガポールのような、Digital Competencesの教員研修が国策としてまったく取られていないと思います。「機器を整備しても運用できず」では困るので、早急に、アフターコロナでのICTに関する新たな教員研修の方策についてのお考えをお聞かせいただきたいです。
→A.さらに検討周知が必要だと思います。文科省の「教育の情報化の手引き」など参照ください。

Q21


 これからの学校教材では、デジタル教材が導入されると思いますが、紙教材(教科書、ドリル、テスト、…)がデジタル教材に置き換わっていくイメージですか? それとも共存するイメージですか?
→A.紙や従来の授業の良さもあります。うまく共存でしょう。

Q22


 ICTをベースにした学習を受けてきた中学・高校の卒業者が「今と違って、どのような人材像になっていくのか」という観点で、文部科学省の立場で狙っていることをお伺いできれば幸いです。大学・社会人教育推進者への参考としてお伺いできればと思います。
→A.ひとことで言えばSociety 5.0という新たな社会の担い手です。

Q23


 国から号令がかかり、若い先生方もやりたいと思っても、教育委員会や校長などの中間層が動かない、という声が多数届いています。また、先生方がやっと作った動画が今ひとつという残念な声もあります。知識獲得はプロ(大学、民間等)が作ったオンライン動画で十分なので、先生は一対一や伴走者、相談相手と、役割を分けるのがひとつの解になりませんか?
→A.さまざまな役割があって良いと思います。

Q24


 先生方の役割変更に伴う、先生方へのコーチングはどのように進められるのでしょうか。
→A.今後研修などさまざまな方法で進めていきます。

Q25


 市議会がまったく動かない。そのような状況で教員がイライラしています。
→A.どこですか。こちらからも声をあげましょう。

Q26


 プログラミング教育などは外部企業との協業もありえますか?
→A.すでに取り組んでいる自治体もあります。

Q27


 G Suite for Educationの児童用アカウントを学校独自で発行し、配布してもいいのでしょうか。自治体に問い合わせると、クラウド利用のセキュリティポリシーもあり、なかなか進まないのが実情です。
→A.ぜひ配布してください。

Q28


 プログラミング教育の進展具合は如何でしょう
→A.小学校ではこの4月から始められています。

Q29


 公教育のICT化は、広島県の平川教育長のような強いリーダーシップをもって進めていく必要があると思います。文科省⇔教育委員会⇔学校の連携は進んでいるのでしょうか。
→A.進めていますが、引き続き進めます。

Q30


 ICTを使って授業を悪い意味で楽にしようと考えている先生方もいます。そのような先生方がおられると学びの質が下がると思われます。そのような先生方についてはどのように思われますか?
→A.そういう先生は普段の授業もろくでもないです。ICTは道具であり、道具は使う人に依存します。

Q31


 さっきのようなスライド、資料って校長など管理職、現場の先生たちは読んでるんですかね??教育委員会は読んでる??そこで止まってる??こんなこと文科省が言ってんだ!やってんだ!ってこと自体知らないんじゃないですかね??知ってたらもうちょっと動くような気がするけどw
→A.ぜひまわりに広げてください。

Q32


 フィリピンの日本語学校を営んでいるものです。今回コロナの影響もあり、フィリピン人日本語学習者へのオンライン授業配信と無料でのオンライン交流会を開催し、現在ある高校様とオンライン交流会(オンライン英語学習合わせ)を開催しようとしております。各種フィリピン学校法人への日本語カリキュラム提供実績があるため、その中で、日本の英語学習生徒様とのオンライン交流会の開催は非常に有意義で、試験的に3回程度開催いたしました。ただ、マネタイズが不安です、現状我々のボランティアベースですが、これをしっかり、事業運営できるような仕組みはありますでしょうか?
→A.遠隔配信はこれまで進んでいなかったので、これからです。

Q33


 高校入試が紙と鉛筆である場合、なかなか難しい面が出てくるのではないでしょうか。高校入試に文科省として意見を進めていくことは可能でしょうか。
→A.入試のみならず考査のコンピューター化も進んでいきます。

Q34


 教科書無償給与、デジタル教科書になっていくんでしょうか。
→A.デジタル教科書は進んでいくでしょう。

Q35


 現場から声をあげても、自治体がなかなか動かない。自治体担当者も何をどうやればわからない状況なのではないでしょうか? ノウハウのある民間に委託してGIGAを進めるという方法はあるのでしょうか?
→A.民間も玉石混交です。見極めが必要です。

Q36


 デジタル教科書が高価であり整備に足を踏み出せない。
→A.デジタル教科書を必ずしも整備の条件にする必要はありません。

Q37


 GIGAスクールサポーターは登録制度になるのでしょうか?
→A.なりません。

Q38


 先生方へのトレーニングと共に、複数生徒の現在進行形の学びの進捗を把握するツール、ソフトなども必要かと思いますが、すでに連携はありますか。
→A.さまざまなソフトは出ています。

Q39


 毎年の教育の情報化調査、Webにて各校からの直接回答になりませんかね? 集計作業が煩雑です。
→A.システム組むべく進めています。

Q40


 Wi-Fiルーターなどの環境面についてはある程度お金を出せば解決すると思うのですが、教師の方々がそれら使いこなすための施策はどのようにお考えですか? ボトルネックは、そこにあると思います。
→A.教師にはしっかりと使ってもらいたいと考えています。

Q41


 学校の先生が抵抗なくICT活用できるまで、どの位の期間を想定していますか。@ICT支援員
→A.まずは使ってもらうのはすぐにでもと思います。その後はステップです。

Q42


 家庭のインフラでオンライン授業に差が出るのでは?
→A.経済的に整備出来ない家庭にもルーター貸し出しなど補助していきます。

Q43


 「1人1台」に必要な端末の総需要は900万台との試算がある。国内のタブレット市場は年700万台強と言われる。20年度内に「1人1台」は実現できそうでしょうか。
→A.全世界では2億台であり、実現できないことはないが、そのためにも自治体の迅速な対応が望まれる。

Q44


 クラウド利用では、ドメインの管理がもっとも重要だと思いますが、教育委員会や学校での管理が大切では。
→A.ID管理について進めていきます。

Q45


 スマートデバイスはWi-Fiとセルラーどちらが望ましいと考えておられるでしょうか。家庭内での学習やオンライン授業を受ける場合、通信格差がでてしまいそうな印象を受けます。
→A.基本はWi-Fiで、LTE(セルラー)は補完です。

Q46


 ネットを国が中心となって基本インフラとして整備できないものか? オンライン授業推進やGIGAスクールについて水道設備がなされていないのに石鹸配って、手洗いを推進しているような気がする。まずは学校、家庭の通信環境の整備である。
→A.大学間通信ネットワークSINETの活用なども考えています。

Q47


 ICT指導員の不足から各校でのICT活用開始が遅れるものと思われます。学校には大勢の生徒がおり、ICT環境に詳しい生徒やその家族が多くいますので、生徒・保護者の力を借りて配信環境の整備をする枠組みができれると一気に進むと考えます。ボランティアと言う考え方もありますが、支援に対する報奨の制度などが作られる事で促進されるかと思います。
→A.GIGAスクールサポーターへの支援制度がありますので、活用してほしいです。

 以上、47の質問に回答いただいた。詳細については文科省のサイト等を確認のこと。
《編集部》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top