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私大の経営、売上トップは順天堂…赤字経営は45%超

 私立大学を経営する全国543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だったことが、東京商工リサーチの調査結果より明らかになった。赤字法人率は46.5%と、前期から5.7ポイント上昇。一方、売上高トップは順天堂で、唯一2,000億円を上回る売り上げとなった。

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 私立大学を経営する全国543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だったことが、東京商工リサーチの調査結果より明らかになった。赤字法人率は46.5%と、前期から5.7ポイント上昇。5割に迫る状況になっている。一方、売上高トップは順天堂で、唯一2,000億円を上回る売り上げとなった。

 同調査は、東京商工リサーチの企業データベースに掲載されている大学・短期大学の経営法人の業績について、2024年3月期を最新期とし、3期連続で業績が判明した543法人を抽出、分析したもの。全体の売上高合計は6兆7,067億円で、前期比0.1%減とほぼ横ばいだったが、543法人中、半数を超える302法人が減収。利益合計は2,178億円と、前期比30.8%減となった。

 最新期の損益別では、黒字が290法人(構成比53.4%)、赤字が253法人(同46.5%)。赤字法人の比率は、前々期34.2%、前期40.8%と約6ポイントずつ上昇しており、採算がとれず厳しい経営に陥っている法人が増えていることがわかる。特に、学生確保に苦慮する短期大学などの小規模法人の経営状況は厳しく、学生数や事業規模で損益に格差が出ている状況がうかがえる。

 地域別の状況をみると、赤字法人率がもっとも高いのは四国で77.8%。以下、北陸66.7%、東北60.0%、中部55.4%、中国55.2%、北海道55.0%、九州43.6%、近畿42.2%、関東40.6%。少子化が進む中、大学進学率は2024年度に過去最高を記録したものの、入学者の絶対数は減少しており、その影響は人口が集中する都市圏とそれ以外の地域とで鮮明に格差として表れている。

 一方、売上上位の法人をみると、売上高トップは、順天堂大学などを経営する「順天堂」の2,114億8,300万円。唯一2,000億円を上回った。ついで、2位は学生数最多の「日本大学」1,903億3,800万円、3位は「慶應義塾」1,772億2,400万円、4位は西日本で唯一ランクインした「近畿大学」1,490億5,000万円、5位は「東海大学」1,398億1,400万円となった。上位10法人はすべて医学部と附属病院をもつ大学がランクイン。医学部・附属病院を持たない法人では、15位の「早稲田大学」1,039億円がトップだった。

 大学経営法人の事業環境は近年ますます厳しくなっており、短期大学などの小規模経営法人を中心に入学募集停止が相次いでいる。一方、多様な入試や推薦制度、高校の係属校化や提携関係を強める動きなど、学生確保に向けた動きは活発化している。今後、経営面での二極化は一層拡大する可能性があり、収益確保に向けた経営力が不可欠になると分析している。

《畑山望》

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