教育業界ニュース

猛暑の課題、保育施設の9割「戸外活動の制限」に悩み

 千は2025年7月5日、「熱中症対策に関する意識調査」の結果を公表した。保育施設の9割が猛暑による戸外活動の制限に悩んでおり、保護者の7割が「子供が体調の変化を伝えられないこと」に強い不安を感じていることが明らかになった。

教育行政 その他
熱中症対策に関する保育施設・保護者の意識調査
  • 熱中症対策に関する保育施設・保護者の意識調査
  • 実施している熱中症対策(保育施設)
  • 保育施設の熱中症対策について、どの程度安心しているか(保護者)
  • 2024年、特に暑さが厳しかった時期に困ったこと(保育施設)
  • 熱中症になった状況と心配する状況(保護者)
  • 子供の熱中症対策として家庭で行っていること(保護者)
  • 子供の熱中症対策について、不安や課題を感じていること(保護者)

 総合保育テックサービス「はいチーズ!」を提供する千は2025年7月5日、「熱中症対策に関する意識調査」の結果を公表した。保育施設の9割が猛暑による戸外活動の制限に悩んでおり、保護者の7割が「子供が体調の変化を伝えられないこと」に強い不安を感じていることが明らかになった。

 「熱中症対策に関する意識調査」は2025年5月から6月にかけて、全国の幼稚園・保育園352施設と、全国の保育園や幼稚園に通う子供をもつ保護者891名を対象に実施した。調査の背景には、近年の記録的な暑さがある。2025年も高温が予測されており、保育現場や家庭では暑さへの対策が喫緊の課題となっている。さらに、2025年6月1日からは厚生労働省による「職場における熱中症対策の強化」が施行され、保育施設を含む職場全体での対応強化が求められている。

 調査結果によると、幼稚園・保育園などの保育施設では「こまめな水分補給(99.4%)」「エアコンや扇風機などの空調の活用や調整(97.7%)」といった基本的な対策に加え、約半数の施設が「熱中症に対する対応ルール・マニュアルの作成(56.0%)」「緊急時の対応・医療機関との連携(48.0%)」「熱中症に関する研修の実施(46.9%)」などを積極的に実施していることがわかった。これに対し、保護者の67.9%が「安心している」と回答しており、保育施設の対策が一定の評価を得ていることが示された。

 しかし、2024年の夏の保育中に施設として困ったことを尋ねたところ、83.2%の保育施設が実施している「熱中症警戒アラートに応じた活動変更」により、88.6%の施設が「戸外活動の中止・制限」に困ったと回答した。子供の健全な発達に不可欠な戸外活動を、猛暑により制限せざるを得ないというジレンマが現場で生じていることが明らかになった。

 また、2024年の夏に子供が熱中症を発症したと回答した保護者は、全体の6.1%にのぼった。発症時の状況でもっとも多かったのは「屋外で遊んでいるとき(53.7%)」で、ついで「屋外でスポーツ・運動をしているとき(24.1%)」となり、屋外で過ごす時間にリスクがあることがわかった。保護者は、屋外での活動中だけでなく「園・学校での活動中(48.7%)」「プールや海など水遊びしているとき(48.3%)」「寝ているとき(43.2%)」にもリスクを感じていることが明らかになった。

 保護者の7割が「子供が体調変化を伝えられるか不安」と感じており、熱中症対策の効果に課題感もある。家庭での熱中症対策としては「こまめな水分補給(96.4%)」がもっとも多く、ついで「適切な服装(83.3%)」「室温・湿度管理(82.2%)」といった対策が取られている。しかし、熱中症に負けない体づくりにつながる「十分な睡眠(51.4%)」や「バランスの取れた食事(29.3%)」といった日常的な生活習慣による予防策については、実施割合が低い傾向がみられる。

 調査結果を受けて、千は「保育施設や家庭での熱中症対策は着実に進んでいるものの、猛暑による戸外活動制限や子供の体調変化を伝える難しさなどの課題が残っている。今後は子供の安全と健やかな成長を両立させるため、保育現場の工夫や支援体制の充実とともに、保護者の不安を軽減するための情報提供やサポートの強化が求められる」と分析している。

《風巻塔子》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top