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大学等の新学期、対面授業の実施を通知…文科省

 文部科学省は、大学等に対して2022年3月22日、2022年度(令和4年度)の授業の実施等にあたる留意事項を通知した。感染対策を十分に講じたうえで対面授業に適切に取り組む等、学修者本位の教育活動や学生に寄り添った対応等を求めている。

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 文部科学省は、大学等に対して2022年3月22日、2022年度(令和4年度)の授業の実施等にあたる留意事項を通知した。コロナ禍であっても人的交流が重要との考えから、感染対策を十分に講じたうえで対面授業に適切に取り組む等、学修者本位の教育活動や学生に寄り添った対応等を求めている。

 文部科学省が実施した調査によると、2021年度(令和3年度)後期の授業の方針は、ほとんどすべての大学等が授業全体の半分以上を面接授業で行う予定と回答。2021年12月末時点の学生の修学状況では、中退や休学の理由として「学生生活不適応・修学意欲低下」が大きな割合を占め、前年より増加傾向にあった。

 通知では、大学等が実施する授業科目の全体を通じた実施形態と、学生個人の履修からみた状況が異なることも想定されるとし、「学生ひとりひとりの立場に立って、引き続ききめ細かな対応に努めていただくことが重要」と説明。中退者・休学者の中には、オンライン授業の実施等によりキャンパスへ通う機会が十分に得られなかったことで、学生や教職員との人的交流ができていないと感じた者がいたことが考えられると指摘している。

 2022年度の各大学等における授業の実施等にあたっては、学生の学修機会の確保と感染対策の徹底を両立するとともに、学生の立場に立ち、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても個々の学生の学修機会が確実に確保されるよう、各大学等が教育活動を実施することが重要との考えを示し、具体的な留意事項を整理している。

 留意事項は、「感染対策を講じたうえでの学修者本位の教育活動の実施」「新型コロナウイルス感染症の影響下にある学生に寄り添った対応」「やむを得ず面接授業が実施できない場合の適切な対応」の3項目。

 「学修者本位の教育活動の実施」については、オンライン等を通じた遠隔授業のみですべてが完結するのではなく、「豊かな人間性を涵養し、人格の完成を目指すうえでは、直接の対面による学生同士や学生と教職員の間の人的な交流も重要な要素」と強調。多様な人々と関わる授業や、少人数のグループワークによる質の高い学修等、相互に切磋琢磨できる環境を整備することが重要とし、2022年度の新入生や、これまで新型コロナウイルス感染症の影響を受けてきた在学生に対して、優先的に面接授業を実施すること等を求めている。

 「学生に寄り添った対応」では、大学等が講じる対応の必要性や合理性について、学生に十分な説明を行い、理解を得ることが重要と指摘。2022年度の授業実施については、速やかに方針を決定し、新入生を含む学生ひとりひとりに正確に伝わるよう、内容を遺漏なく周知すること。大学等の判断や考え方の説明は、単に結論のみをWebサイトに掲載するような軽易な対応に終始することなく、判断の理由や根拠も含めて学生ひとりひとりに伝え、学生の理解を得るよう努めることとしている。

 「やむを得ず面接授業が実施できない場合の適切な対応」では、感染拡大時の遠隔授業等は、十分な感染対策を講じたとしても面接授業を実施することが困難である場合に限り、実施可能。遠隔授業等は、同時性または即応性をもつ双方向性(対話性)を有し、面接授業に相当する教育効果を有すると認められるものである必要があると説明。授業科目の実施方法については、授業計画(シラバス)等に明示し、学生に確実に伝達するとともに、受験生の進学先の参考となるようWebサイトへの掲載等により公表することが求められるとも記載している。

 文部科学省では、2022年度前期における各大学等の授業の実施方針等について把握するため、調査を実施する予定。
《奥山直美》

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