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【相談対応Q&A】支援学級へ移してほしい

 発達に偏りがある子供の場合、どういった集団で学んでいくことが望ましいのかという問題があります。そういったことに関連し、「通常学級から特別支援学級へ移してほしい」という親からの相談を今回のテーマとしたいと思います。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第56回のテーマは「授業についていくのが難しく、家庭でフォローするだけでは限界があるので、通常学級ではなく支援学級へ移してほしい」

どの学級で学ぶか決めるには
一定のルールがある


 発達障害の子供、また何らかの形で発達に偏りがある子供の場合、どういった集団で学んでいくことが望ましいのかという問題があります。通常学級なのか、特別支援学級なのか、通級指導教室なのか等の問題です。そういったことに関連し、「通常学級から特別支援学級へ移してほしい」という親からの相談を今回のテーマとしたいと思います。

 子供がどういった集団で学ぶのかということを決めるには一定のルールがあります。親だけの希望、学校長の判断だけで決まるものではありません。たとえば、小学校1年生の入学時の流れは次のようになっています。就学先は、在籍校・園等の就学支援委員会や就学相談等を経て、市区町村の就学支援委員会が総合的に判断し、さらに政令市または都道府県の教育委員会が最終的に決定し通知を出すという流れです。

保護者への説明が大事


 学校としては、親からの相談を受け、特別支援教育コーディネーターを中心として対応をしていくことになります。親がどのような思いを抱いているのかを把握することがまず第一にすべきこととなります。そのうえで、仕組み等をきちんと説明することが大切になります。先ほども触れた小学校入学時の就学の手続きのように、親の思いだけや学校長の判断だけで簡単に変えることができるものではありません。

 親にはとってはわかりにくい点についても詳しく説明していくことが求められます。たとえば、「特別支援学級のクラス分け」や「すべての学校に特別支援学級がある訳ではないこと」等です。特別支援学級は、「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」等7つの障害種別に分かれています。ほとんどの学校の特別支援学級では、学級名にこういった障害種別名は付いていません。外部の人(保護者等)からはこういったことはわかりにくいことです。

 また、地域によっては、すべての学校に特別支援学級がある訳ではありません。近隣の数校の小学校に1つの割合で特別支援学級を設置している自治体もあります。そういった場合は、自分の子供が住んでいる学区に特別支援学級がない場合は、少し離れた学校に通うことになります。東京都の場合、特別支援教室というものを全校に導入しています。これは在籍は通常学級にありながら、授業の内容によっては、特別支援教室で授業を受けるという仕組みです。他にも似たものとしては、通級指導教室があります。上記で説明したものをその自治体の状況を踏まえて、親に説明する必要があります。

 そして、その学校の置かれている状況等を説明したうえで、今の状況において、どういった選択がその子供の学びや育ちにおいてより良いのかということを考えていくこととなります。少し手間がかかることではあるのですが、とても重要なことです。そうやって手順を踏まえ、丁寧に取り組んでいくことが、親からも信頼され、また子供に適した状況を作ることにつながっていくのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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