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障害のある学生の修学・就職支援促進事業、東大ら2件採択

 文部科学省は2021年8月24日、2021年度(令和3年度)障害のある学生の修学・就職支援促進事業の選定状況について、選定結果を公表した。4件の申請の内、東京大学と京都大学が申請代表校を務める2件が採択された。

教育行政 文部科学省
令和3年度障害のある学生の修学・就職支援促進事業の選定状況について
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  • 障害のある学生の修学・就職支援促進事業選定状況
 文部科学省は2021年8月24日、2021年度(令和3年度)障害のある学生の修学・就職支援促進事業の選定状況について、選定結果を公表した。4件の申請の内、東京大学と京都大学が申請代表校を務める2件が採択された。

 障害のある学生の修学・就職支援促進事業は、先進的な取組みや多くの知見をもつ大学等が連携するプラットフォームを形成し、他の大学等がこのプラットフォームに参加することで、さらなる大学間連携や担当者間の連携を促進することを目指した取組み。課題に対する情報やノウハウの共有等の組織的なアプローチにより、高等教育機関全体として障害学生支援を充実することを目的としている。

 2021年度は、5月21日付で各大学・短期大学・高等専門学校長宛に公募を行い、6月30日までに4件の申請を受理。その後「障害のある学生の修学・就職支援促進事業委員会」による選定結果を踏まえ、今回2件の事業が採択された。

 1件目の申請代表校は東京大学、共同申請校は筑波大学、富山大学。障害学生支援について、「全国の大学や学生からの障害学生支援や就労移行支援に関する相談窓口の運営」「大学を対象とした専門的研修プログラム(おもにオンラインでの修学支援・就労支援に関するセミナー)の実施」「全国各地でのタウンミーティング開催を通じた産学官連携による就労移行プログラムの実施」の3つの柱を軸に、これまで構築してきたネットワークを生かしながら全国の大学や企業、行政機関との連携を実現する体制を構築し、実践するとしている。

 2件目の申請代表校は京都大学、共同申請校は大阪大学、筑波技術大学、広島大学。高等教育機関における障害学生支援のネットワークを強化し、スタンダードの構築を目指すことを目的としている。事業展開としては、「高大接続・移行支援(高専への進学時含む)」「入学後の合理的配慮の提供をはじめとした修学支援」「大学等から社会へ進出する際の就労支援をはじめとした社会移行支援」の3つのフェーズに分けて、相談プログラムや地域ネットワークの形成・連携プログラム、専門的ノウハウ等の共有化プログラム等を実践するとしている。いずれも一過性のものではなく継続的に効果が波及することを目指し、特定の地域だけでなく広く普及することでスタンダードの構築・向上を目指す。

 今回の採択に際し、障害のある学生の修学・就職支援促進事業委員会・委員長の柏倉秀克氏(桜花学園大学教授)は、以下のコメントを寄せている。「障害のある学生への支援は、現場における個別対応によるところが大きく、進学・修学支援、就職支援、教職員の理解促進、情報公開、教育環境の調整等、各大学で共通の課題を抱えている。特に、障害のある学生への出口段階での支援が進んでいない現状があり、各大学等がそれぞれ単独で取り組むだけでは限界がある。事業を通じてより多くの大学や関係機関が連携するプラットフォームを形成し、多様な学生ひとりひとりの特性や希望、状況を踏まえたきめ細かな学生支援のさらなる充実が高等教育機関全体として図られることを期待している」。
《畑山望》

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