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【相談対応Q&A】勉強苦手な子をしっかり指導して

 新しいクラスが始まり、そろそろ2か月が経ちます。少しずつ落ち着いてくることで、それまではあまり気になっていなかったことが気になりだすことがあります。今回は、「勉強が苦手な子供の勉強をもっとしっかり見てほしい」ということをテーマにします。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第36回は「勉強が苦手な子供をもっとしっかり見てほしい」

勉強に関する相談は最優先で対応する


 新しいクラスが始まり、そろそろ2か月が経ちます。少しずつ落ち着いてくることで、それまではあまり気になっていなかったことが気になりだすことがあります。今回は、「勉強が苦手な子供の勉強をもっとしっかり見てほしい」ということをテーマにします。

 勉強に関する親からの相談等は、最優先で対応することが望ましいです。学校(教師)が求められている役割は色々とあります。求められる役割がたくさんあるのですが、やはり大事にしなくてはならないことは「勉強」に関するものです。いくら他の部分をしっかりとやっていたとしても、勉強に関する部分が不十分であると、なかなか信頼を得ることにはつながりません。勉強が「学校の中心的な役割である」「子供の将来に影響を与える」と感じている親は多いです。

 教師にとって、学校内ではさまざまな仕事があります。校内の分掌等の仕事もたくさんあります。ただ子供の学びに関する事柄は、優先順位の高い仕事です。他の仕事の手を抜くということではありませんが、状況に応じて仕事の取組みに濃淡をつけることも大切です。特に若い教員は何に対しても丁寧に取り組もうとして、結局、どれもが中途半端になってしまうというがあります。子供の学びに関することは、特に重点を置いて取り組みたいことです。

 そのため、親から勉強に関する質問等が来た場合、丁寧に、そして早急に対応することが大切になります。特に「勉強が苦手な子供の指導」についての相談の場合はじっくりと話を聞き、適切な対応をすることが求められます。親がそういった相談をしてくる時点で、うまくいっていない部分があるということが多いです。教師の視点では、気付きにくいことを教えてくれることもあります。親の話を聞き、子供のようすを見て、対応できることに取り組みます。

学校外の機関の手助けも必要


 もし、学力の不振等の原因が本人の努力とは違うところにあるように感じられるならば、学校外の機関の手助けも必要でしょう。たとえば、LD(学習障害)等の発達障害を疑われるような子供の場合、学校内で定められた手順を踏んだうえで、専門機関を紹介すること等が大事になります。私は、何らかの不安要素がある子供の場合、WISC-IV等の知能検査を受けることを積極的に勧めることが良いのではないかと思っています。

 大人が自分の健康を維持しようと考えた時、状態を把握するために「健康診断」等を受診します。色々と検査をし、血圧、血糖値、コレステロール等の結果を見ながら、対応(どういった生活をしていくか、どのような薬を飲むのか等)を考えていきます。体に関することに関し、数値等を見ることなく、経験則だけで、治療をするということは現代の医学ではあり得ません。

 教育、子育ての場合、そういった検査等は無いまま、経験則等から対応することが多いです。「知能検査」は、健康診断のようなものです。その子供の弱い部分、強い部分が数値でわかります。そういったものをもとにして、その子供のどの部分を生かし、どの部分をフォローすれば良いのかを考えることができるようになります。自分の子供が知能検査を受けること等に関し、親が躊躇する場合があります。そういった場合、先ほども例に出した健康診断のような役割だということを伝え、検査を受けるメリットをしっかりと伝えていくと良いでしょう。

【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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