国立大学協会は2021年3月16日、国立大学法人におけるコストの「見える化」検討について最終まとめを公表した。国立大学の財務情報を社会にわかりやすい方法で「見える化」し、積極的に公開することなどを提言している。 国立大学協会では、各国立大学法人内における資金配分やコスト分析の在り方について早急に検討する必要があるとして、経営委員会の下に「国立大学法人におけるコストの見える化検討委員会」を設置。国立大学法人におけるコストの「見える化」に関する基本的な考え方や課題について、2020年2月に中間まとめを公表。引き続き検討が必要とされた課題について議論を続け、最終まとめとして報告した。 最終まとめでは、コストの見える化の基本的な考え方を「学内に対するコストの見える化」「学外に対するコストの見える化」「運営費交付金との関係」に整理。ワーキンググループが取りまとめた「国立大学法人における教育・研究コスト分析手法試案」によるトライアル結果、国立大学法人におけるコストの「見える化」にかかる好事例等調査の結果なども紹介している。 今後の取組みに向けた提言では、国立大学の財務情報を社会にわかりやすい方法で「見える化」し、積極的に公開することが重要と指摘。分析方法の統一に向けては「現段階では統一的・画一的な分析手法ですべての大学のコストを横並びに『見える化』するのではなく、各大学がそれぞれに工夫をしながらコストの『見える化』に積極的に取り組む中で、一定の統一的な手法を活用して他大学の状況等も参照できるような方向へ引き続き事例の積み上げや分析手法の改善について努力していくことが必要である」とした。 教育・研究にかかるコストの按分については、「見える化」の方法は単一ではないとし、「さらに多角的な視点からの検討も行われるべき」と提言。会員大学に対しては、最終まとめを踏まえた継続的なフォローアップ、必要に応じた分析手法の改定検討など、さらなる取組みの促進を行っていくとしている。 国立大学協会のWebサイトでは、最終まとめ「国立大学法人におけるコストの『見える化』検討について」のほか、各国立大学の財務情報も公開している。