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保育士、こども家庭庁に期待することは「処遇改善」

 保育士の約3分の2が、こども家庭庁に「処遇改善」を期待しているなど、労働環境整備に向けた具体的な施策を求めていることがネクストビートが2023年5月に実施した調査より明らかになった。

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 保育士の約3分の2が、こども家庭庁に「処遇改善」を期待しているなど、労働環境整備に向けた具体的な施策を求めていることがネクストビートが2023年5月に実施した調査より明らかになった。

 調査は2023年5月15日~22日、ネクストビートが運営する「保育士バンク!総研」の登録者と閲覧者を対象に、登録者へのメール通知やSNS公開を通して実施した。回答者数201名。

 調査の結果、今後こども家庭庁に期待することとしてもっとも多かった回答は「処遇改善」で65.7%。ついで、「配置基準の改善(22.4%)」「保育の質向上への支援(5.5%)」「保育人材確保の支援(2.5%)」「ICTによる業務効率化の推進支援(2%)」という結果に。約3分の2の保育士が、「処遇改善」の対応を望んでいることがわかった。

 「処遇改善」へのコメントとして、「責任と仕事量、乳幼児期の教育の大切さと賃金が見合っておらず、離れて行く方や潜在保育士・幼稚園教諭が多いので。働いていても、これだけ大変なのに給料が…と度々職員間でも話が出ます」(大阪府/30代/保育士)、「子供の命を預かる仕事なので、給料を上げるなどして保育士のなり手を増やして人手不足を解消しないと、防げる事故も防げない」(奈良県/40代/保育士)などがあげられた。

 また、こども家庭庁へ期待することとして2番目に多かった「配置基準の改善」の具体的な改善案について、「不慮の死亡事故やケガ、発達障がい児童も多いため、加配を絶対検討するべき」「保育士の配置基準が日本は遅れている。海外をもっと見てほしいし実際今の職員配置は無理がある」などのコメントが寄せられた。

 2023年4月にこども家庭庁が発足し、政府は「異次元の少子化対策」として、2030年代初頭までにこども家庭庁の予算を倍増するとしている。5月にこども家庭庁が公表した調査では、全国の保育所で2022年4月から12月までの間に「不適切な保育」が914件確認できたと報告されており、これらの背景には、慢性的な保育士不足と厳しい労働環境にも原因があると言われているという。

 配置基準の改善が不慮の事故や不適切保育の防止につながるとの声もあげられており、今回の調査結果からも、現場の保育士が労働環境整備に向けた具体的な施策を求めていることがあらわれる結果となった。

《木村 薫》

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