教育業界ニュース

保育士の配置基準見直し、現役保育士6割「期待」

 政府より公表された「こども・子育て支援加速化プラン」の試案について、6割以上の現役保育士が「保育の質の向上」や「給与の増加」等に期待を寄せていることが、2023年4月26日に明日香が公表した調査結果から明らかとなった。

教育行政 その他
今現在、勤務している園の配置数と処遇について
  • 今現在、勤務している園の配置数と処遇について
  • 保育士の配置基準見直しの施策に対する期待
  • 配置基準見直しによって保育の質が向上するか
  • 配置基準見直しにより改善されると思う業務
  • 子ねくとラボ

 政府より公表された「こども・子育て支援加速化プラン」の試案について、6割以上の現役保育士が「保育の質の向上」や「給与の増加」等に期待を寄せていることが、2023年4月26日に明日香が公表した調査結果から明らかとなった。

 保育士配置基準見直しと保育の質向上に関する調査は、保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」を運営する明日香が現役保育士106名を対象に、4月7日~10日にインターネットで実施したもの。

 政府は3月31日、「こども・子育て支援加速化プラン」の試案を公表。少子化が深刻化する中、課題解決に向けて今後3年間で取り組むために必要な政策内容を整理。配置基準の見直しと保育士等のさらなる処遇改善についても言及している。

 調査では、まず保育士に現在、勤務している園の配置数と処遇について質問。その結果、「配置数・処遇ともに不十分」43.4%に対し、「配置数・処遇ともに十分」は20.8%にとどまった。また、「配置数は十分だが、処遇が不十分」「処遇は十分だが、配置数が不十分」とする回答はいずれも17.9%だった。

 次に保育士の配置基準見直しの施策に対する期待を尋ねたところ、「非常に期待」37.7%、「やや期待」22.6%をあわせ、6割以上が期待を寄せていることがわかった。期待する具体的な理由には、「保育の質の向上」や「給与の増加」等の意見があがった。

 そこで、政府の保育士の配置基準見直しによって、保育の質が向上すると思うかを尋ねたところ、「非常にそう思う」30.2%、「ややそう思う」29.2%をあわせ約6割が、配置基準見直しによる保育の質向上に期待していることがわかった。

 次に、配置基準の見直しで改善されると思う業務を尋ねたところ、「精神的な負担が減る」73.0%がもっとも多く、「より安全を確保できる」69.8%、「時間外労働が減る」66.7%が続いた。自由意見では、「新人育成の時間をとることができる」や「保育室や玩具のこまめな消毒」等の回答もあった。

 一方、配置基準が見直されても保育の質が向上しないと回答した人を対象に理由を尋ねたところ、「保育士になりたいという人が少ないから」「処遇が改善されなければ、やめる人は変わらない」「今回でできるなら、今までもできていると思うから」等の回答が寄せられた。

 今回の調査では、保育士の配置数や処遇は、多くの場合十分に整備された状態になっておらず、長年変更がなされなかった配置基準の見直しに関して、肯定的な意見と否定的な意見の両方が集まる結果となった。

 今後、政府は「こども・子育て支援加速化プラン」の試案をベースに、国民的議論を進めていくため、4月以降、内閣総理大臣のもとに新たな会議を設置。こども家庭庁においてこども政策を体系的に取りまとめつつ、 6月の骨太の方針2023までに、将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示予定としている。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top