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【相談対応Q&A】学校指定の水着に抵抗感

 2021年度はコロナの影響で水泳授業を控えた学校がありました。コロナが少し落ちていてきた2022年度は多くの学校で水泳授業が行われるようです。今回のテーマは「学校指定でない私物の水着でプール授業を参加させてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第86回のテーマは「学校指定でない私物の水着でプール授業を参加させてほしい」。

 2021年度はコロナの影響で水泳授業を控えた学校がありました。コロナが少し落ちていてきた2022年度は多くの学校で水泳授業が行われるようです。

体操着はほとんどが男女共通


 通常の体育の授業で使用する体操着は現在、男女で共通のものとしている学校が多いです。20年くらい前までは男子は短パン、女子はブルマという学校もありました。時代の流れの中で男女共用のハーフパンツへと移行していく学校がほとんどでした。

 そういったことの影響も受け、男女で同じデザインの水着「男女共用セパレーツ水着」が販売されました。上は長袖、下はハーフパンツとなっています。導入している学校が出てきています。

 LGBTQ(Lesbian:レズビアン・女性同性愛者、Gay:ゲイ・男性同性愛者、Bisexual:バイセクシュアル・両性愛者、Transgender:トランスジェンダー・性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人、Queer/Questioning:クイアやクエスチョニングの頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつ)に対する社会の理解も進みつつあります。そういったこととも関連し、体操着同様、男女共用の水着が導入されていくことに理解がある人も増えていることでしょう。

 以前から、肌が弱い子どもが肌を保護する目的で長袖の上着(ラッシュガード)の着用について相談されることがありました。通常の水着の上に肌を保護する長袖の上着を着用するというものです。こういったケースでは、着用が認められることが多かったようです。

水着対応について複数の視点で考える


 今回のテーマである「学校指定でない私物の水着でプール授業を参加させてほしい」というものは、いくつかの視点で考えることができます。1つ目は、はじめに体操着の例で出したように男女の区別を無くしていくということです。2つ目は、安価で良質なものがたくさん販売されるようになってきているということです。3つ目は、ラッシュガードの例にもあったようにさまざまな子供の状況に対応する際、統一したものにしていくことに無理があるのではということです。

 学校の指定を無くしてしまうと、混乱が生じてしまうのではという考えがあります。たとえば「派手なビキニの水着を持ってきたら困る」などのものです。教員のそういった心配は多くの場合、杞憂に終わることが多いです。体操着に関して、学校指定のものではなく、「動きやすい服装」という指定をしている学校もあります。そういった学校では、それなりに親子で考えたうえでの服装になっているそうです。何か問題があるようなケースが発生したら、個別に対応することで大丈夫でしょう。

 現在、学校における学びにおいて「個別最適な学び」が重視されています。そういった状況において、色々なものを画一化するという考え方は方向性が違っていると感じます。揃えることに合理的な理由があるものを除き、それぞれの家庭の判断でどういったものを使用するのかを決められるような状況が望ましいことなのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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