文部科学省は、全国の大学等(国公私立大学・短期大学・高等専門学校)を対象に3月22日に「2022年度前期の授業の実施方針等」について調査を実施。また、2021年度末に実施した「経済的に困難な学生への支援状況・学生の修学状況等について(調査)」とともに調査結果を取りまとめ、各大学等設置者・関係者に向け周知を図る事務連絡として公表した。
2022年度前期における対面・遠隔授業の実施方針については、1,165校中1,157校(99.3%)が「半分以上を対面授業とする予定」と回答。さらに全体の95.8%は「7割以上を対面授業とする予定」、55.5%は「全面対面とする予定」とし、半数以上がコロナ禍以前と同様の方針で授業を実施する意向を示した。前回(2021年度後期)調査と比べて、全面対面・ほとんど対面の大学等はあわせて20ポイント以上上昇している。
コロナ禍以前と異なる(全面対面以外)の方針を採る大学等のうち、約9割は「大多数以上の学生が方針を理解・納得している」と回答。また、98%は「学生の通信環境確保の支援」や「交流の機会を設ける」等、新入生等に何かしらの形で配慮を実施するとしている。
大学内施設の利用については、「全面的に利用可能」が77.9%、残り22.1%は一部利用制限を予定しているものの、「立ち入り禁止」とした大学等はなかった。
3月末時点で行った「経済的に困難な学生への支援状況・学生の修学状況等に関する調査」によると、2022年度前期の授業料の納付猶予・減免の実施については、2021年度に引き続き全体の95.6%の大学等が前期分の授業料の納付猶予を実施(実施予定)とした。高等教育の修学支援新制度に加え、全体の53.6%は経済的に困難な学生を対象とした各大学等独自の授業料等減免を実施(実施予定)としている。
2021年度(1年間)の中途退学者は5万7,875人で、前年度(2020年度)1年間と比べても変化はなく、コロナ前の2019年度の中退者数より1万6,000人以上低い。一方で、コロナを理由とした中退者数は前年の2,024人から2,738人に増加。その内訳をみると、「経済的困窮」は9.8ポイント減少したものの、「学生生活不適応・修学意欲低下」が2.7ポイント増加し、コロナを理由とした中退学のうち、もっとも多い理由となった。
2021年度(1年間)の休学者数は、前年度より微減の6万5,143人となったものの、コロナを理由とした休学者数は824人増加。コロナを理由とした休学のうち、もっとも多い理由は「経済的困難」で前回からほぼ横ばい、ついで「学生生活不適応・修学意欲低下」は2.9ポイント増加した。
文部科学省は、今回の調査結果を参照し、「学生生活不適応・修学意欲低下」を理由とした中退学者や休学者が増えている背景には、コロナ禍でさまざまな交流が思うようにできない状態が長期化していることが関係しているとの考えを示した。学生が孤独・孤立に陥ることのないよう、十分な配慮を行い、相談体制等の一層の整備を図ることを求めた他、引き続き学生の学修機会の確保と新型コロナウイルス感染症の感染対策の徹底との両立を図り、困難な状況に置かれている学生に対するきめ細かな支援等に取り組むよう再度留意を呼びかけている。
なお、全国の専門学校を対象とした同調査も実施。結果はまとめて文部科学省Webサイトに公表している。