こんな使い方してますICT
高等学校 情報
マインクラフトを使った高等学校 情報科の授業事例
私はマインクラフトのプログラミングの機能を活用して、PBL学習を実践しました。「情報の授業で、大森学園としての特色を出した授業をしたい」と思ったのがきっかけです。私は高校1年生の「情報の科学」と高校3年生の選択科目「PC活用講座」を担当しておりますが、この「PC活用講座」の授業ではこれまで、P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)の対策講座をしており、Microsoft Wordの文書作成やMicrosoft Excelでの関数を用いた表計算を中心に授業を行っていました。
この内容も、生徒のICT活用能力を向上させるためにとても大切なことだと思いますが、新学習指導要領に変わるにあたって、これまでの内容も継続しながら新しいことにも挑戦してみたいと考えておりました。
このような思いを抱きつつ模索する中で、情報科の授業で新学習指導要領の内容にPBLや探究系を入れてみるというところに至り、何か目的をもって、プログラミングしながらマインクラフトで建築物をつくろうという方向性を定めました。最初に「SDGs」や「ESD」の内容をもとに建築物をつくろうと思ったのですが、それでは少し世界が広くなってしまうので、自分たちの学校のある大田区にアプローチしてみることに。そこで、大田区役所を訪れ、都市開発課の方に「大田区の課題」をいただきました。
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これをもとにSDGsの11番目の目標「住み続けられるまちづくり」を達成するために、『大田区にこんな建物・施設があればもっと住みやすくなる』という課題を生徒に課しました。
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生徒73名から19のグループをつくり、各グループが配布された「問題解決シート」から自分たちで解決する課題を見つけて、どうすれば問題を解決できるのかを検討しました。
並行して、マインクラフトのビジュアルプログラミング環境である「Make Code for Minecraft」を使ったプログラミングの授業も行いました。効率良く建物をつくるという具体的な目的をもってプログラミングすることで、生徒もプログラミングの必要性も感じ取ったのではないかと思います。また、基本的には授業内で完結するようにしているのですが、自宅でもやりたいという生徒の要望に応じるため、Google Driveで保存・共有することでグループ内で管理することを可能にしました。
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このような流れで授業を進めていき、最後には全体発表の場を設けました。当日には大田区役所の方にも来校いただき、講評をいただいた他、「Ai GROW」という評価ツールを使ってフィードバックを実施。ただ単に感想をアウトプットするだけではなく、コンピテンシーを多面的に評価し可視化しあうことにも取り組みました。
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この授業を通して伝えたいことは、「新しく何かをクリエイトする力」や「問題発見および解決能力」を身に付けることです。高校1年生のときから学習してきた教科の知識・ICT活用能力を、問題に対して、どう使って、どのように考え、どのように自分たちで結論や代替案を導き出すのかを考えることによって、これらの力が養われていくと考えます。ただ教科の知識・内容を学ぶだけではなく、これが高次な学びとなり、今後に生かすことへとつながるはずです。
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本校の建学の精神は、「社会に貢献できる有為なる人材の育成」です。大森学園は工業高校が前身ですが、これをバックボーンとして、現代の生徒の学びへとつなげていくことが、大森学園で学ぶ1つの意義であり、生徒像だと思います。これが生徒の今後の学びや仕事において何らかの素地となっていくことでしょう。
<学校法人大森学園 大森学園高等学校 情報科 杉村譲二先生>
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