明治図書出版より『1冊整理 学習指導要領 改訂への見取り図』が2026年9月4日に刊行された。
本書は、学習指導要領改訂の核となる主要なキーワードや全教科・領域等の課題、動向を網羅し、中央教育審議会の部会・ワーキンググループ(WG)委員等が「どうなる?」までわかりやすく解説している。また、関連する検討資料に即アクセスできるQRコードが付されており、読者の理解を深めやすい仕掛けが施されているのが特徴だ。
リシードでは明治図書出版の協力のもと、『1冊整理 学習指導要領 改訂への見取り図』の一部を紹介する。書籍冒頭の文部科学省初等中等教育局 主任視学官の田村 学氏へのインタビューを紹介したのち、「改訂への見取り図[全体編]」から、インタビューのキーワードに関連する部分を掲出する。第2弾の今回は「学びに向かう力、人間性等」について。
本書の特徴のひとつでもあるQRコードも付すので、「理解の深めやすさ」をぜひ体感してほしい。
Interview 次期学習指導要領で目指すこと

学びに向かう力、人間性等とその評価
◆「学びに向かう力、人間性等」の再整理
先ほど申し上げたとおり、今改訂の大きな柱の1つが、わかりやすくて使いやすいに向けた学習指導要領における「資質・能力の構造化」です。そして、このためにもう1つ重要なのが、「学びに向かう力、人間性」を再整理するという話題です。
これまで「主体的に学習に取り組む態度」という観点で評価してきた「学びに向かう力、人間性等」については、次頁の「育成すべき資質・能力の3つの柱」の図の中で示されていました。このうち、下の2つ(知識・技能、思考力・判断力・表現力等)は認知系と呼ばれるもの、上の1つ(学びに向かう力、人間性等)は非認知系と呼ばれるものと言えます。認知系は、端的に言えばテストで測れるタイプのものであり、非認知系はテストでの測定が難しいものです。

この10年の間に行われてきた教育研究によって、非認知系が認知系をコントロールする重要な役割を担うことも明らかになってきました。つまり、これまで以上に非認知系の力の育成が欠かせないということが、再整理の前提となっています。
そのうえで「学びに向かう力、人間性等」をどう捉えるかを考えたときに、これまでは「主体的に学習に取り組む態度」という評価の観点において「自己調整」と「粘り強さ」という2軸が示されていました。前回改訂以前には曖昧だった「態度」的なものが、二軸で鮮明になったという点では、この示し方には一定の意味がありました。ただ一方で、軸が2つしかないために形骸化してしまうという面もありました。乱暴に言えば、多くの教科の多くの単元の評価規準が「粘り強く学習に取り組もうとしている」という表現になってしまうという状況です。

▼文部科学省/育成すべき資質・能力の三つの柱


学びに向かう力、人間性等
執筆者:戸ヶ崎 勤先生(埼玉県戸田市教育委員会教育長)
「学びに向かう力、人間性等」の再整理
現在の学習指導要領では、「学びに向かう力、人間性等」は「主体的に学習に取り組む態度」という観点で各教科の目標準拠評価の対象とされています。しかし、学校現場からは、評価そのものが難しく負担があるという指摘もされています。その結果、提出物の期限遵守や挙手の回数といった「形式的な勤勉さ」が強調されてしまうことも生じています。そうしたことから、次期改訂に向けた議論では「学びに向かう力、人間性等」をよりわかりやすく構造化し、「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」「学びの主体的な調整」「他者との対話や協働」「学びを方向付ける人間性」の4つの要素に再整理することが提案されています。この構造化を基盤として、過度な負担を生じさせずに、真の資質・能力の育成につながる新たな学習評価の枠組みが検討されており、そこでは「個人内評価への変更」と「『◯』の付記」という2つの大きな柱が示されています。
「個人内評価」への変更と個人の育ちの見取り
第1の重要な柱は、「学びに向かう力、人間性等」の評価を、各教科等の「目標準拠評価」から、教育課程全体を通じた「個人内評価」へと改めることです。「学びに向かう力」や「人間性」は、単一の教科の枠内で短期間に完結するものではなく、あらゆる学校生活やカリキュラム全体を通して、じっくりと総合的に育まれていくべき性質のものです。
▼教育課程企画特別部会(第10回)資料/学習評価のあり方に関する検討の視点(石井英真)/2025年7月4日
















