教育業界ニュース

こども誰でも通園制度、約9割の施設から不安の声

 政府が創設を掲げる「こども誰でも通園制度(仮称)」について、約9割の施設が制度実施を不安視していていることが、コドモンが2023年8月29日に公表した調査結果から明らかとなった。

教育行政 その他
こども誰でも通園制度に関するアンケート
  • こども誰でも通園制度に関するアンケート
  • Q1 こども誰でも通園制度の実施は、今まで支援の手が届かなかった家庭や児童にとって意義があると思いますか?
  • Q2 制度の実施についてどうお考えですか?
  • Q3 制度の実施までの準備期間は十分だと思いますか?
  • Q4 制度の実施にあたり特に懸念する点をご回答ください。(複数選択可)
  • Q5 制度実施後、受け入れの人数調整で一番に配慮するポイントはどんな点でしょうか?
  • Q6 制度実施後、保護者からの予約受付について理想の方法は何だと思いますか?(複数選択可)

 政府が創設を掲げる「こども誰でも通園制度(仮称)」について、約9割の施設が制度実施を不安視していていることが、コドモンが2023年8月29日に公表した調査結果から明らかとなった。

 こども誰でも通園制度に関するアンケートは7月18日~8月4日、保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON」を利用する全国の保育施設を対象に、メール案内・Web回答方式で調査したもの。回答数は357件。

 「こども誰でも通園制度(仮称)」は、親の就労に関わらず誰でも時間単位で子供を保育所などへ預けられるようにするもので、6月13日策定の「こども未来戦略方針」の中で創設が示されている。

 同制度の実施について、今まで支援の手が届かなかった家庭や児童にとって意義があるかを尋ねると、「意義がある」45.7%と過半数が回答する一方で、「わからない」40.1%、「意義はない」14.3%をあわせると半数以上の施設は意義があるとは感じられていないことがわかった。また、制度実施を不安視する声は89.4%にのぼる結果となった。

 特に懸念する点については、「人手不足」と「保育士の処遇改善が一切実現されないまま新たな負担だけが増えること」に7割を超える回答が集まった。加えて「安全面の管理」69.2%、「配置基準関連」66.4%との回答から、制度の実施による施設側での安全管理や、保育士の人員不足と負担増を不安視する声が多いことがわかった。

 制度実施後については、受け入れの人数調整で一番に配慮するポイントとして、過半数を超える55.2%の施設が「保育士の人員体制」と回答。理想的な予約受付方法は、「自治体で一旦取りまとめて各施設に振り分ける方法」48.5%がもっとも多く、「メールやフォームでの受付」44.0%、「電話」30.8%、「自動受付システム」27.2%が続いた。

 政府は「こども誰でも通園制度(仮称)」のモデル事業を2023年度から拡充しており、2024年度以降に制度の本格実施を見据えた形で実施するとともに、病児保育の安定的な運営に資するよう、事業の充実を図るとしている。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top