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ベネッセ上場廃止へ…少子化など背景、MBOで再建目指す

 ベネッセホールディングスは2023年11月10日の取締役会において、MBO(マネジメント・バイアウト)の一環として行われる普通株式および米国預託証券に対する公開買付けに賛同の意見を表明した。これにより、公開買付けの結果次第で上場廃止となるという。

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 ベネッセホールディングスは2023年11月10日の取締役会において、MBO(マネジメント・バイアウト)の一環として行われる普通株式および米国預託証券に対する公開買付けに賛同の意見を表明した。これにより、公開買付けの結果次第で上場廃止となるという。

 ベネッセホールディングスは、教育事業開始による「第一の創業」、介護事業開始による「第二の創業」を2本柱に、子会社39社・関連会社3社からなる企業グループに成長。1995年に大阪証券取引所市場第二部および広島証券取引所に上場、1997年には大阪証券取引所市場第一部に指定、2000年に東京証券取引所市場第一部に上場、2022年4月4日以降は東京証券取引所の市場区分見直しにともない東京証券取引所プライム市場に移行し、現在に至る。

 今回、公開買付けによる自社買収に至った背景として、日本の出生数低下と学生人口の減少、中間層をターゲットとする旧来型通信教育の市場縮小と顧客ニーズの多様化、大学入試改革・総合型選抜入試の導入により旧来の塾・個別指導や模擬試験に対する需要の低下、デジタルネイティブ企業によるデジタルを駆使した新たな教育サービスの提供による競争激化など、国内教育事業における事業環境が厳しさを増していることがあげられる。

 介護事業においても、介護施設運営に適した土地建物の獲得は容易ではなく、政府による在宅介護の推奨・介護施設の総量規制、介護従事者の人手不足の深刻化などを理由に事業環境は厳しくなりつつある。

 こうした大きく変化する社会の中で、デジタル化・グローバル化が進む現代社会で求められる能力を育み評価する仕組みを提供し、日本の国際競争力・プレゼンスを向上させ、質の高いシニアライフを送ることを支援するという社会的使命を果たすための成長軌道に再び乗せるべく、「第三の創業」としてデジタルとリアルの双方の世界において、世界中のあらゆる世代が「よく生きる」ためのグローバル・プラットフォームの実現を目指すという。

 そのためには、現在の延長線上で事業を営むのではなく、教育事業のデジタル化や海外における教育事業の強化、介護事業のM&Aを通じた拡大などの大胆な施策による、これまでの事業路線を超えた変革が必要との認識から、株式公開買付けによる自社買収を決定した。

 また「第三の創業」の実現には、長期的・持続的な事業変革が不可避であり、株式非公開化によって常に決算期ごとの業績達成を求められる資本市場と距離をおき、有力な外部パートナーと協業し、その知見を活用することが有力な選択肢であるとの考えに至ったとしている。

 公開買付けの結果により、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、ベネッセホールディングスは所定の手続を経て上場廃止となる予定。また、それを踏まえ、2024年3月期の配当予想を修正。2024年3月31日(期末)を基準日とする剰余金の配当を行わないこと、および2024年3月期より株主優待制度を廃止することも決議した。公開買付けが開始されない、または成立しなかった場合の対応については、あらためて公表される見通し。

《畑山望》

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