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FAX原則廃止への対応策は? 校務DXに向けた4つの段階

 プリンタやスキャナーなどOA機器を手掛けるエプソン販売は、教育現場におけるFAX廃止は段階的に進めていくべきだとし、下記の4つの段階で移行していくことを提唱している。

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FAX移行に向けた段階
  • FAX移行に向けた段階
  • Epson Connectのメールプリント機能
  • Epson Connectのスキャンtoメール機能
  • アンケート「教育現場におけるFAX廃止について」
  • アンケート「教育現場におけるFAX廃止について」

 政府は2023年12月20日、第3回デジタル行財政改革会議「デジタル行財政改革中間とりまとめ」の中で、教育現場においてFAXのやり取りや押印を原則廃止する方針を示した。2025年度中には全学校で原則廃止となる見通しで、アナログ業務を抜本的に見直して校務DXを推進していく。

FAXを使用している学校は9割以上
廃止に不安の声も

 文部科学省が2023年12月27日に公表した「『GIGAスクール構想の下での校務DX化チェックリスト』学校・教育委員会の自己点検結果~(速報値)」によると、公立の小学校・中学校のうち、業務にFAXを使用している学校は96%にのぼる。

 リシードとエプソン販売が実施したアンケート「教育現場におけるFAX廃止について」(※)でも、 小学校・中学校・高等学校の先生の95%が「FAXを使っている」と回答しており、現在の教育現場ではFAXは重要な通信手段のひとつとして活用されていることが伺える。

FAX廃止には段階的な移行を
FAXに代わる手段とは

 FAXを使う場面(複数回答可)は、「外部機関と学校とのやりとり」78%がもっとも多く、ついで「学校同士でのやりとり」56%、「教育委員会と学校とのやりとり」34%、「保護者と学校とのやりとり」5%、「その他」5%という結果だった。

 自由回答では「送信したメールが読まれていないときにFAXを使って読むように促している。学校現場は忙しいので、電話での連絡は極力避けたい。そのためにはFAXが有用(50代・高等学校教諭)」「連絡が来たときにすぐに気付けるFAXは便利(40代・中学校教諭)」などFAXのメリットを訴える声や、「FAXに代わる手段として、どのような方法が適切なのかわからない(50代・高等学校教諭)」「すべてがメールになると情報が埋もれてしまうことが心配で、そうならない工夫が必要(50代・高等学校教諭)」「現状のままでは不安。クラウドのセキュリティや環境が、整ったら安心できるかもしれない(60代以上・小学校教諭)」など、業務に支障がでないかと不安視する声もあった。

 また、「進めるべきであるが、給食の食材を納入している個人経営のお店で困るところもあると思う(50代・小学校教諭)」といった、現状FAXが連絡手段となっている相手先への配慮の声も見られた。

 プリンターやスキャナーなどICT機器を手掛けるエプソン販売は、下記のような4つの段階で順次FAX廃止を進めていくことを提案している。

  • 段階1:FAX業務が中心で、デジタル化が図られていない状態(現状)

  • 段階2:アナログな環境からスキャンでの電子化を中心とした業務環境に移行している状態

  • 段階3:教育委員会、学校間の業務連絡はすべて電子化に移行

  • 段階4:民間事業者とFAX業務もすべて電子化に移行

 FAXを段階的に廃止していくための方策として、インターネットを利用して端末やプリンターにデータを送付できる無料サービス「Epson Connect」の2つの機能が有効だ。

メール送信して、相手のプリンターで印刷(メールプリント機能)

 Epson Connectは、各プリンターにメールアドレスを付与し、パソコンなどの機器からプリンターへメールを送るだけで、送信先の1台もしくは複数のプリンターで文書などを印刷できる「メールプリント機能」を備えている。

 送信側は、プリンターのアドレスにメールを送信するだけ。受信側ではFAXと同様の使い勝手を実現できるというわけだ。

 たとえば教育委員会から学校への連絡をFAXからメールプリント機能に変えた場合、下記のメリットがある。

  • 教育委員会はメール1通で市内全校のプリンターから資料を出力でき、FAX番号の入力やFAX送付前の紙の出力といった工数が削減できる

  • 学校はメールだとつい見逃してしまう情報も、紙での出力で見逃さない

紙の文書をメール送信(スキャンtoメール機能)

 また、紙の文書をスキャンすると、本体のパネル操作だけで自動メールを送信できる「スキャンtoメール機能」も搭載されている。

 これにより下記のメリットが実現できる。

  • PC操作を介さずプリンター本体のパネル操作だけで紙のデータ化とメール送信が完結する

  • 紙をデータ化することで、ロケーションフリーに対応できる

 エプソン販売担当者は、「学校現場にとって段階4の完全デジタル化は目指す姿だと思います。しかし学校の現状を踏まえるとFAXに変わる手段を決め切れていない、もしくはどのような手順で廃止したら良いか迷っている現場も多いのではないでしょうか。Epson ConnectはFAX原則廃止に向けて今まさに動き出そうとしている自治体ですぐに活用できるサービスで、デジタル化に向けた最初の一歩としての活用を想定しています」と語る。

教育機関向け│特集:学校現場のFAX業務が廃止!?(エプソン販売)

 

彦根市教育委員会が取り組むDX
緊急時の連絡もメール1本で完了

 彦根市教育委員会は、2022年度に市内の小中学校全校に、プリントやコピーの使用状況に合わせて、最適な印刷環境を提供するエプソンのスマートチャージ『アカデミックプラン』を導入した。それに伴い、教育委員会と学校との連絡手段としてEpson Connectが利用できるようになった。

 2023年7月、全国で予定されていたJアラートの訓練が急遽中止になった際には、教育委員会からEpson Connectの「メールプリント機能」を利用して市内全校のプリンターにメールを一斉送信。緊急連絡の文書が、各学校の校長室や職員室などに備え付けられたプリンターで印刷された。緊急時、従来は1校ずつ電話をして連絡をしていたというが、Epson Connectを利用することで市内の全校への連絡がわずか数分で完了できたという。紙で印刷されたことで、見逃されることもなかった。


 エプソン販売担当者は、「学校現場は教育の質を向上させるために、教職員の働き方改革も重要であり、FAXの原則廃止はそのひとつの手段だと思います。デジタル化への取組みを促進し、たとえば『Epson Connect』を活用して業務を効率化することで、先生たちが子供たちと向き合う時間がさらに増やせることを願っています」と語る。

 FAX廃止へのスムーズな移行のために、Epson Connectの活用を検討してみてはいかがだろうか。

オンラインイベント「待ったなしの学校DX~どうする?FAX廃止」3月29日開催

 リシードは、「Epson Connect」を提供するエプソン販売と共同で2024年3月29日に、ウェビナー「待ったなしの学校DX~どうする?FAX廃止」を開催した。

 本ウェビナーでは、教育ICTの環境構築と普及の先導者として全国をまわる平井聡一郎氏を招き、待ったなしの学校DXの現状や、学校文化の象徴であるFAXや押印廃止に向けた意識改革、学校現場の不安や課題の解決策などについて講演いただいた。

ウェビナー アーカイブ

※アンケート「教育現場におけるFAX廃止について」:リシードとエプソン販売は2024年3月1日から13日までの期間Web上で、FAX廃止に関するアンケートを実施。このうち小学校・中学校・高等学校に勤務する82名の回答をまとめた。

《外岡紘代》

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