文部科学省は2023年12月22日、2024年度(令和6年度)文部科学省予算案を公表した。文部科学関係予算額は、前年度比443億円(0.8%)増の5兆3,384億円。小学校高学年の教科担任教師の増員、副校長・教頭マネジメント支援員の配置、教師人材の確保強化などを盛り込んでいる。
2024年度の文部科学省予算案は5兆3,384億円。前年度予算額5兆2,941億円と比べ443億円(0.8%)増となった。予算額のうち、文教関係予算4兆563億円(前年度比417億円増)、科学技術予算9,780億円(前年度と同額)、スポーツ関係予算361億円(前年度比2億円増)、文化芸術関係予算1,062億円(前年度比1億円増)。
文教関係予算では、小学校高学年における教科担任制の強化と35人学級の計画的整備に1兆5,627億円を計上した。教科担任制は、学習が高度化する小学校高学年で、専科指導担当教師の計画的な配置充実を図るもので、当初計画を1年前倒して、2024年度は1,900人の増員を図る。優先的に専科指導の対象とすべき教科には、「外国語」「理科」「算数」「体育」をあげ、小中一貫・連携教育の観点から中学校教師の活用も想定している。
小学校の35人学級は、2021年3月の義務標準法の改正に基づき、計画的に整備するため、2024年度は第5学年の学級編制の標準を35人に引き下げる。
このほか、中学校における生徒指導や学びの多様化学校などへの支援に60人増、チーム学校や学校DXの推進に向けた運営体制の強化に50人増、発達障害など障害のある児童生徒への通級指導の充実に744人増、外国人児童生徒に対する日本語指導の充実に122人増など。学校の働き方改革、複雑化・困難化する教育課題に対応するため、全体で教職員定数5,660人の改善を実現する。
補修等のための指導員等派遣事業には121億円を計上し、教員業務支援員を全小中学校に配置するほか、学力向上を目的とした学習指導員などを配置。厳しい勤務実態にある副校長・教頭の業務を専門的に支援する「副校長・教頭マネジメント支援員」を新たに配置する。多様な支援スタッフが学校の教育活動に参画する取組みを支援することで、学校教育活動の充実と働き方改革の実現を目指す。
新規の「行政による学校問題解決のための支援体制の構築に向けたモデル事業」には、1億円を計上。保護者や地域からの過剰な苦情や不当な要求など、学校だけでは解決が難しい事案について、「学校問題解決支援コーディネーター(仮称)」を中心にさまざまな専門家が参画する体制を整備し、行政による学校問題解決のための支援体制の構築を図る。
また、深刻化する教師不足を受け、新規事業として教師人材の確保強化を打ち出した。大学入学者選抜の「地域教員希望枠」を活用して地域や現場ニーズに対応した質の高い教師を継続的・安定的に養成・確保する「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業」、教師不足に対応するための連合体を教育委員会・大学・民間企業などで組織して学校現場とのマッチングなどに取り組む「大学・民間企業等と連携した教師人材の確保強化推進事業」に着手する。
このほか、学習者用デジタル教科書の導入に17億円、部活動の地域連携や地域スポーツ・文化クラブ活動移行に向けた環境の一体的な整備に32億円、不登校対策COCOLOプラン関連事業に89億円なども盛り込んでいる。
文部科学省では、予算(案)のポイントをまとめた資料などをWebサイトで公開している。