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【相談対応Q&A】新しい技術を取り入れてほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第178回のテーマは「新しい技術を取り入れてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第178回のテーマは「新しい技術を取り入れてほしい」。

タブレット/PCの活用の課題

 GIGA端末が日本中の学校に行き渡り、子供たちの日々の学びに活用されています。コロナをきっかけとして、GIGAスクール構想が一気に進んでいきました。導入当初は、バタバタとした面もあり、十分に吟味されないまま、機種の選定や運用の対応などが行われました。今は、コロナも一時よりは落ち着き、GIGA端末が本来のねらいの通りに活用される段階に移ってきていると感じます。

 現時点でいくつかの問題点などが見えてきています。ハードの問題としては、破損が多いことです。机からタブレット/PCが落下し、破損してしまうというトラブルは多くの学校で見られています。予備機や修繕では対応できないレベルで破損が起こっている学校もあると聞きます。ソフトの面としては、不適切な動画の視聴、SNSでのいじめなどでしょう。

 ハードに関しても、ソフトに関しても、今後の社会を生きていく人たち(今の子供たち)にとっては常に考えていかなければならない問題です。最適な活用のためにはどうしていけば良いのかということを考え続けていく必要があるでしょう。ところで、タブレット/PCの活用に関して濃淡があります。積極的に活用している学校(クラス)とそうでない学校(クラス)の差です。そういった中で、不適切な活用があるから使わせないという考え方は間違っていると私は思っています。トラブルを起こさせないために使用を制限するということは問題の解決にはつながりません。

積極的に新しいものに関わっていく

 私は5月9日に東京ビッグサイトで行われていた「EDIX(教育総合展)」を訪れました。教育に関する新しい技術(ハード、ソフト)がたくさん展示されていました。新しい技術には本当に驚かされます。GIGAスクール構想が本格化して以降、教育分野におけるデジタル技術の進歩には驚かされるものがあります。学校での活用を想定したもの、家庭での活用を想定したもののどちらにおいても、加速度的なペースでより良いものができあがっています。EDIXのような展示会を訪れると多くの刺激があり、発見があります。

 そういった新しい技術の活用のあり方には、デジタル技術とどのように関わろうとしているのかという個人の考え、組織の考えが色濃く表れます。GIGA端末の活用にあまり積極的でない場合は、もちろん新しい技術を活用することも少ないでしょう。今の子供が生きていく社会は将来の社会です。多くのものが変わっていることが予想できます。

 昔(約40年前)のドラえもんの漫画に興味深い道具が描かれています。ドラえもんがのび太に渡した道具に「箱型で、写真が撮れ、レコードがかけられ、テレビが見られる」というものがあります。それはまさに「スマホ」です。このケースでは、40年前のドラえもんの未来の道具は、今なら子供でも持っているような道具になっています。数十年後がどのようになっているのかはわかりません。ある研究では、AIなどの発展により、今ある職業のうち約半分が将来には無くなってしまうというものがあります。

 学校は「積極的に新しいものに関わっていくべき」と私は考えています。先ほども書いたように、学校は未来を生きていく人を育てているからです。しかし、実際には変化を嫌い、新しいものを避けているような雰囲気があるのが現在の学校の姿です。学校という組織が、デジタルに限らず、新しいものにどんどんチャレンジしていくような組織であってほしいです。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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