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中高生の英語力、初のレベル達成5割超え…文科省調査

 文部科学省は2024年5月9日、2023年度「英語教育実施状況調査」の結果を公表した。CEFR A1レベル(英検3級)相当以上の中学生は50.0%。CEFR A2レベル(英検準2級)相当以上の高校生は50.6%と、どちらも初の5割超えを達成。生徒・教師ともに着実な英語力向上がみられた。

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 文部科学省は2024年5月9日、2023年度「英語教育実施状況調査」の結果を公表した。CEFR A1レベル(英検3級)相当以上の中学生は50.0%。CEFR A2レベル(英検準2級)相当以上の高校生は50.6%と、どちらも初の5割超えを達成。生徒・教師ともに着実な英語力向上がみられた。

 「英語教育実施状況調査」は、英語教育の充実や改善に向けた具体的な施策の現状調査。各都道府県・市区町村の教育委員会とすべての公立小・中・高校を対象に、2013年より毎年実施(2020年は中止)している。2023年度の調査学校数は小学校1万8,560校、中学校9,165校、高等学校3,256校。基準日は2023年12月1日。

 中学生の英語力は、CEFR A1レベル(英検3級)相当以上が、前年度比0.8ポイント増の50.0%。2016年から毎年着実に伸びており、今回初めて政府目標の5割を達成した。

 都道府県・指定都市別でみると依然として地域差が大きく、CEFR A1レベル(英検3級)相当以上は、「さいたま市」88.4%、「福井県」83.8%が突出して高い割合となった一方、「佐賀県」30.1%、「愛知県」35.6%、「福島県」35.8%、「新潟市」36.2%、「静岡県」36.3%、「岩手県」38.4%と6地域で4割に満たない結果となった。

 高校生の英語力は、CEFR A2レベル(英検準2級)相当以上が、前年度比1.9ポイント増の50.6%。中学生と同様、毎年着実に英語力が向上しており、初の5割達成となった。一方、CEFR B1レベル(英検2級)相当以上の割合は、前年度比1.4%減の19.8%。特にグローバルな活躍が期待される層の拡充に向けては課題が残った。

 都道府県でみると、CEFR A2レベル(英検準2級)相当以上は、「富山県」61.4%、「福井県」61.1%の2県が6割超え。2023年度の平均値を超えたのは20都道府県だった。4割に満たなかったのは「宮城県」39.6%のみ。そのほか「沖縄県」40.3%、「福島県」40.6%、「高知県」41.8%と続き、高校においても自治体間の差がみられた。

 なお、政府は、2023年度~2027年度の「第4期教育振興基本計画」において、中学校卒業段階でCEFR A1レベル相当以上、高等学校卒業段階でCEFR A2レベル相当以上の中高生6割以上を目標に定めている。

 英語担当教師においても英語力は向上傾向にある。CEFR B2レベル(英検準1級)相当以上を取得している英語担当教師の割合は、中学校44.8%、高校80.7%。いずれも増加傾向にあり、今回が調査開始以来の最高値となった。一方で、高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%と前年度比0.7%減となった。

 文部科学省は調査分析として、生徒の英語力の向上には、生徒の英語による言語活動、教師の英語使用・英語力、ALT(外国語指導助手)との授業外活動等が影響しているとし、その部分を強化していくために今後ICTやALTの活用などが重要になるとした。対策として、デジタルを活用したパフォーマンステストの実施促進を図るべく、MEXCBT(文部科学省CBTシステム)に「話すこと」などの問題を搭載し、5月9日に公表。2024年度は、AIを授業・家庭学習・パフォーマンステストで活用し、言語活動の充実等につなげるための実証研究に新たに取り組むとしている。

 調査では、児童・生徒の英語による言語活動の状況、パフォーマンステストの実施状況、「CAN-DOリスト」形式による学習到達目標、ALT等の参画状況、ICT機器の活用状況、小学校における外国語教育担当者の状況なども掲載。全文は文部科学省Webサイトから確認できる。

《畑山望》

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