全日本情報学習振興協会は、国家試験受験経験者を対象に「オンライン受験システム」に関する調査を実施。半数が「移動を伴う試験に不満を感じている」と回答し、2割以上が「国家試験に遅刻しそうになった、もしくは遅刻してしまった経験」が「ある」と回答した。
調査は、5年以内の国家試験受験経験者1,008人を対象に、2021年12月22日~23日にインターネット上で行われた。受験環境の地域差もある国家試験だが、自宅からオンライン受験ができたらメリット・デメリットを含めて受験環境はどのような変化が予想されるかを探った。
調査では先ず、会場への移動について質問。「受験当日、集合時刻のどのくらい前に起床しましたか?」という問いに対しては、「2時間前~3時間前未満」(31.1%)という回答がもっとも多く、「3時間前~4時間前未満」(24.8%)が続いた。「試験会場に着くまでどのくらい時間がかかりましたか?」という質問には、「1時間~1時間30分未満」(37.7%)という回答が最多で、「30分~1時間未満」(35.6%)が続いた。また、「1次・2次試験の全て含む往復の交通費、宿泊費」については、「5,000円未満」(63.6%)を選んだ回答が過半数だったが、前日等に移動して会場近くに宿泊する場合のより高額な回答も見られた。2割以上の受験者が「国家試験に遅刻しそうになった、もしくは遅刻してしまった経験」が「ある」と回答。
「会場に出向いて国家試験を受けることに対する不満」については、「とても不満がある」(15.5%)、「やや不満がある」(35.1%)、「不満はない」(49.4%)となり、「不満を感じている人」が半数にのぼった。「とても不満がある」と「やや不満がある」を選んだ回答者の不満の理由には、「試験会場が自宅から遠い」(53.7%)、「試験会場の数が少ない」(43.3%)、「試験日が年に1~2回しかない」(30.2%)という回答が続いた。
続いて、国家試験をオンライン実施することで考えられるデメリット(上位3つまで選択可能)を尋ねる質問には、「カンニング等の不正が増える」(63.6%)という回答が最多となり、ついで「受験環境が同じではないので不公平になる」(43.4%)、「通信環境や機器を持っていない人は受験できない」(33.8%)、「デジタルの知識がない人は受験が難しい」(31.1%)、「人によって、メリハリがないと集中力が落ちる場合がある」(16.2%)が続き、公平性の担保を懸念する声が目立った。
一方、国家試験をオンライン実施することで考えられるメリット(上位3つまで選択可能)を尋ねる質問には、「交通費や宿泊費がかからない」(50.6%)が最多となり、ついで「試験会場まで移動する手間がなくなる」(50.5%)、「新型コロナウイルスの感染予防になる」(45.4%)、「時間に余裕が生まれる」(19.9%)、「自宅で落ち着いて受験できる」(18.8%)が続く結果となった。